落語関係の備忘録
このところ聴きに行った落語会のことを記していなかったのでまとめておく。
2024年12月22日(日):阿倍野SPACE9
吉田食堂 吉坊わさびのなんでやねん!(第1回)
浅草で聴いた「MCタッパ」がなかなかよく、気になっていたわさび師が週末に大阪で聴けるということで、家内を連れて。真打になってそれなりに経つはずなのだがまるで若手のようにしばしば挙動がおかしくなるわさび師がおかしい。相手が若く見えて芸達者な吉坊師だけに、年上の後輩であるわさび師の落ち着きのなさが余計に際立つのだ。この会は全5回らしく(当日わさび師が発言。寝耳に水だったようで吉坊師が素で驚く)、次回は4月13日(日)。家内に次も来る?と聞いたら「育てる意味でね」とのこと。
2024年11月24日(土):コスモスシアター
春風亭一之輔独演会
入船亭扇遊師のお弟子さんだと、扇蔵師は配信でしか聴いたことがなく、遊京さん、扇太さんは扇遊師の会で生でお話を聴いているが、扇七さんは初めて。さすがに元アナウンサーだけあって声も口調も確りしている。
一之輔師は相変わらずうまいし面白いが、二席だったので少し食い足りない感じが残った。
2024年9月27日(金):天満天神繁盛亭
扇遊文之助二人会
前年6月に浅草で聴いて以来の扇遊師の高座であるから、気合が入った。夕方からの会だったが定時まで仕事をしていると間に合わないので有給休暇を取って万全の態勢で臨んだ。
開口一番、弥壱さんが入船亭の定番ともいえるであろう「狸賽」をかけたので、その時点でちょっと楽しくなった。文之助師は関西のテレビなどでお見かけしたことはあるものの生の高座は初めてだったが、「ふぐ鍋」が特に良かった。上方らしい砕けた風情はありつつも米朝一門らしい端正な佇まいは、入船亭の、こざっぱりと抑制の効いた芸風との相性は良いように感じる。そういえばCDでしか聴いていないが故九代扇橋は故枝雀との二人会を開いていたわけで、両一門には長い縁があるのだった。
扇遊師は、入船亭の十八番とされる「麻のれん」―当今ではともすれば嫌な受け止められ方をしなくもない噺なのだが―これは一門会での、扇好師の嫌みのないさっぱりとした噺が印象に残っているが、扇遊師も基調は変わらず、一門の芸が受け継がれている証左なのだろうと感じた。ただ、扇遊師の声の良さ―口跡、発声、人物描写の演じ分けなども含めて―というのは一門、いや、師である九代扇橋を含めても一つ抜けている気がして、どの演目でも陰陽、明暗、抑揚が一段深まるというか…。で、この日の白眉は「佃祭」だったなあと。下げの手前で主要な登場人物が退場してしまい脇役が締めるというおかしな構造の噺なのだが、そこまでの物語がすっきりとした語り口でかっちりと構築されているから、下げのバカバカしさが軽やかにやり過ごせる。そんな気がした。
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