庚申塚スタジオフォー、8月の「四の日昼席」。

巣鴨というか庚申塚のスタジオフォーで毎月4日に開催される落語会。安い木戸銭できちんとした落語が5席楽しめるという良い会である。
しかしながら4日が休日にあたっていないと聴きに行くことができないので、訪れるのは数か月ぶりとなった。

桂やまと「あくび指南」
開会に先駆けてスタジオの方から、この会、10月から値上げされ、2千円になるというアナウンス。そのあたりを突っつきながら、今月の住吉踊の稽古の話題、そして、習い事ということで「あくび指南」へ。
聴き終えて、「あくび」を芸事として習うという非常にシュールなこの作品、ダウンタウンが大昔にやっていたネタの「あ研究家」なんかの原型と言えるのではないか、などとひとりで勝手に得心していた。

初音家左橋「酢豆腐」
二席続いて軽め、軽妙な江戸の落語らしい落語が続く。気障野郎の気障っぷりをこれでもかと滑稽に。

古今亭文菊「三方一両損」
そもそも落ち着いた渋い声音なのだが、静かに声を抑えても、芯があるという感じで通る。故に、めりはりが効きすぎるほどに効く。江戸っ子のおかしさを描いたネタで、啖呵の切れ味が肝心なのだが、これがもう、素晴らしい。春にもこの会で聴いたが、やはりなんとも上手い。落ち着きと貫禄も只者ではない。

柳家ほたる「居酒屋」
古今亭駒次さんの代演で、柳家権太楼さんのお弟子さんのほたるさん。「落語研究会」でよく見る権太楼さんの落語によく似ていて、似ていることばかりが気になった。ただ、お若いので、似てしまうとちょっとくどく感じるところもあり。いや、権太楼さんも生で見ると自分にはきついのではないかなと思ったり。

隅田川馬石「牡丹灯籠より お札はがし」
「牡丹灯籠」は落語としてきちんと聞いたことがない。怪談としてドラマなどになる場合は、萩原新三郎とお露という娘が恋仲になるが、実はお露は幽霊。それと知らず接する新三郎は日ごとに生気を奪われていく。僧侶がことを見破って守り札で新三郎の家を封じ、お露は中に入れなくなるが、夜明けだと偽られて侵入され、亡くなってしまうという話。
圓朝が長大な落語に仕立てただけで、原型となる中国の怪異譚は、短い怪談の方に近い。
怪談を得意とする弟弟子の蜃気楼龍玉さんはこの夏国立劇場で三夜連続、「牡丹灯籠」をやるという。一方兄弟子の馬石さんはこの会で「牡丹灯籠」をやったわけだが、重すぎない、ちょっと笑える段を選んで来られたのだろうか。この異常な暑さだから、この8月は怪談噺がかけられることが多くなるんじゃないか、といった枕から、伴蔵とお峰夫婦のやり取りで所々くすぐりを入れつつすっきりと。

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