BLUETOOTHの音とびに我慢できず有線イヤホンに戻そうと思い、今さらSHUREのSE215に手を出す。

BLUETOOTHイヤホンを使って、ワイヤレスのメリットを甘受してはいたのだが、環境に何らかの原因があるのか、通勤途中など音飛びがひどく、どうにも我慢ができなくなってしまった。
で、有線イヤホンに戻そうと思うのだが、愛用のZERO AUDIO CARBO SINGOLOは酷使したためか金属部分表面の塗装が剥げてきてあまり見栄えがよろしくなく、どうせなら以後あれこれ迷わずにすむような機種にでもしようかと思いつつ、いやいや、東京の電車の混雑ぶりだといつ引っ掛けられて断線するかもしれないから値の張るものは避けるべきだろうとも思いながら、久々に大阪の自宅でSHUREのSRH440を使って、まあやっぱりヘッドホンもイヤホンもSHUREのモニター機でよいのではないかと思えてきて、実際に店頭で試聴してSE215を購入した。外でイヤホンで音楽を聴くことが習慣になってから、まだ10数年だと思うが、あっちこっち寄り道をして、いまさらながら低価格帯の定番中の定番に手を出してしまった。

以前から、試聴はしてみるものの、耳への収まりに違和感を感じて敬遠してきたのだが、しばらくOUTLIER ONEを使って、外耳が塞がれる圧迫感には少しずつ慣れてきたし、なにより遮音性がもたらす音楽のニュアンスの向上には価値を見出すことができたので、トライしてみることにしたのだった。
この機種にはオリジナルSE215と、SE215SPEというバリエーションがあり、後者はモバイル用途を意識してケーブルを短くし、低域を強めてメリハリを付け、性格をモニター用からリスニング用に寄せたものなのだが、試聴してみるとそのメリハリの付け具合がちょっとうるさく感じた。クラシック、60'sブリティッシュ・ビート、パンク、昭和歌謡、落語と、あれもこれも聴くには、機材の音はフラットな方がありがたい。ケーブルが短いのは良いと思うのだが。



イヤーピースは、付属のフォームタイプかシリコンタイプか。開口部の径が細いので一般的な交換用イヤーピースは取り付けられない。コンプライには適合する機種があるようだが、付属品含めフォームタイプは苦手なので使わず、付属シリコンタイプ3サイズのうち、真ん中で聴くことにする。

■キャロル「夏の終り」
意識を向ければどのパートも聴きとれる。なかなかの分解能だが、これは、フォームタイプのイヤーチップでなくとも十分に環境音を遮断できている成果なのだろう。
この曲で重要なベースの音はしっかり出ていて、それでいて輪郭がはっきりしている。

■バッハ「無伴奏チェロ組曲 第4番ギーグ」(トルトゥリエ)
器楽独奏と言えばCARBO SINGOLOだが、あちらはちょっと引いた位置から、空間の中央にチェロが浮かび上がる感じ。215はと言えば、チェロのすぐそばに顔を近づけているような、とにかく寄った感じだ。SINGOLOは奏者の全身が見えているが、215は弓を動かす右手しか目に入らない。
そして、やはりモニタ機らしく、古い録音だとソースの粗まで感じられて、これは慣れが必要かも知れない。

■ストラヴィンスキー「春の祭典」(ムーティ指揮フィラデルフィア管)
何を聴くにせよ多少ぬけの悪さが付きまとうが、これは外耳をふさぐ機種では避けられないことだろう。
それは割り引くとして、ちょっと弦楽アンサンブルには硬さと混濁が感じられる。一方で、管楽器については、金管木管を問わず、立体的で生き生きとした音を聞かせてくれるが、これも数が増えると少しごっちゃになる感じ。

やはりモニタ機らしい分析的なところが、ソースによって吉と出る場合もあるし凶と出る場合もあるように思える。とは言えシングルダイナミック型であるから、それほどきめ細かくはない。
エージングが進んでこちらの耳も慣れてから、さてどうなるかだが…。

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