CREATIVEのBLUETOOTHイヤホン、Outlier ONE。

JBLのE25BTをしばらく使っていたのだが、各所のレビューにある通り、バッテリー部分に取り付けてシャツの襟などに止めるためのクリップがあっさり壊れてしまった。補修部品としてクリップは買いなおせるが、構造と材質の問題で、どうせほどなく壊れるだろうと思うと、馬鹿馬鹿しくて買いなおせない。そして、クリップなしで使うと、首の後ろに重みのあるバッテリーユニットがあって、耳に入れたユニットが多少後ろに引っ張られる感があり、また、歩けば動くし、すると、ファブリック皮膜のケーブルは盛大にタッチノイズを出すし、で、どうにも使い心地がよろしくない。

そこで、そこそこ電池が持ち、バッテリー部分の処理、デザインがよさそうなものを物色して、CreativeのOutlier ONEという機種を取り寄せてみた。定価で3千円台という、かなり安価なものだが、嵩があるのはコントロール部分だけで特に目立つバッテリーユニットもないのに、連続再生時間が9.5時間だというのが決め手になった。
Creative社はWindowsPC用のサウンドボードなどで昔から名を知られたメーカーで、PC周りのオーディオブランドとしては老舗と言えるだろう。これまで同社の製品だと、ずいぶん前のデジタルオーディオプレーヤーと、デスクトップPC用のアクティブスピーカーぐらいしか使ったことがないが、不満はない。



さて、届いて開封して、少し驚いたのが、ユニット部分の大きさだ。現物を見ずに注文したからだが、イヤホンとしてはかなりでかい。商品写真ではずいぶんとケーブルが短く見えるのだが、それはユニットが大きいせいだと気が付いた。手にしたことはないが、最近出回っている、左右をつなぐケーブルすらない完全ワイヤレス型のイヤホンぐらいの大きさなのだろうか。
さらに、この機種は、昔の“トップ・ローディング”を謳っていたビクターのイヤホンのように、耳に入る先端部分にドライバを搭載しているので、耳の外に出る部分はむしろコンパクトにできるはずである。ということは、目につくバッテリーらしき部分もないのに公称9.5時間という再生時間を獲得できていることからして、左右のユニットにバッテリーが入っているのだろう、と、勝手に推測しておこう。

左がJBLのE25BT、右が本機。
下は本機のイヤーピースとイヤーキャップ。
右上に見えているのはE25BTのバッテリー部分。

大きさの次に特徴と言えるのが、イヤーキャップだろうか。イヤーピースとユニット本体との間に、クッションのようなシリコン製のパーツが取り付けられている。スポーツ用イヤホンでよくある、突起が付いていて外耳のくぼみに収めることで走ってもずれたり落ちたりしないようにするあのパーツだ。この製品では突起付きと無しの2つが用意されている。このパーツは、後述する音質に影響が大きい。

イヤーピースは3サイズ。前述のとおり耳に入る先端にドライバがあるため、イヤーピースの取り付け径が大きく、市販のものは使えない。おそらくビクターのトップ・ローディング用なら付けられそうだが…。

ケーブルはいわゆるきしめん状。シャツクリップが用意されている。ケーブルが視界の外でぶらぶらするのは不安なので、首の後ろに回さず、クリップで胸ポケットに止めるなりしたほうが良いのではないかと思う。

さて肝心の音質だが、数少ないネット上のレビューで散見されたのが、籠った音、という表現。確かに抜けが悪い気がする。しかし、しばらく聴いていると、オーケストラものだと裏で鳴っているような小さい音なんかが割とはっきり聴き取れて、分解能が高いと感じられる。普通、籠っているような音ならば、中低域がだらしなくふくらんで、例えばシンバルの音なんかはスポイルされるものだが、そうではない。さてどういうことかと考えて、そう言えば環境音がほとんど聴き取れないと気が付いた。
つまり、遮音性の高さゆえに、抜けの悪さはありつつも、細かい音までちゃんと耳に届くということなのだろう。
イヤーキャップを外しても外見上違和感がないのでその状態で聴いてみると、付けている時よりもちょっと音が遠くなる感じ―一番耳に近いところにユニットがあるにしては不思議―だが、鮮明だ。しかし、音に厚みが無くなるか。個人的にはキャップがあるときの音の方が好ましい。心地よくて、いつものようにレビューのために聴き始めたトルトゥリエの無伴奏チェロを、そのまま聴き続けてしまった。

PROS
・6㎜径のダイナミック型ユニットということで、中高域寄りかと思ったがそうでもなく、ベースラインなどタイトに聴かせる感じで悪くない。本当に低いところまで出ているという感じではなく、そこそこのところが持ち上げられていて、それなりに感じられるということだろうか。
・連続使用時間は9.5時間。イヤホン+レシーバーになっているタイプを除けば、トップクラスだろう。ただし、実際まだ切れるまで使っていないので何とも言えない。
・イヤーキャップによる装着安定性については、突起のないタイプを使っているうえにランニングなどしないのでわからない。しかし、耳との隙間を埋めることで遮音性を向上させ、音質に影響を与えることがわかった。
・あまり自分には関係ないがIPX4相当の防滴仕様。

CONS
・ユニットがでかい。しかし、完全ワイヤレス型だったらこんなものだろうし、困ることはないが…。
・操作部の各ボタンの突起というか高さが低いので手探りで判別しにくい。(防水性確保のための設計だろう)
・過去に活用したことはないが、マルチペアリングができない様子。(E25BTはできた)

この値段でこの音、バッテリーユニットのやり場に困らないデザインと、とりあえず満足度はかなり高い。

コメント

人気の投稿