ギャビン・オコナー監督の「ウォーリアー」と「ザ・コンサルタント」。

「ウォーリアー」は「マッドマックス 怒りのデスロード」(しかし改めてかっこ悪い邦題だなと思えてならない。原題そのまま「=フューリーロード」でよかったんじゃないか)の主役や、今年公開の「ダンケルク」でスーパーマリン・スピットファイアを駆るパイロットを演じたトム・ハーディの出演作だ。
総合格闘技のトーナメントを舞台に、実の兄弟であると同時に名誉と大金を争うライバルでもある二人の男を描いた作品で、弟を演じたハーディと、兄を演じたジョエル・エドガートン、二人でW主演となっている。



本邦において総合格闘技は、かつて一大ブームとなり、そのブームの激しさゆえに人々が醒めた途端に見向きもされなくなった悲しいジャンルである。大手の配給会社がそれを踏まえて客が入らないと判断したのかどうかは知らないが、この作品は、日本では本当に限られた劇場でしか公開されなかった。

ほんのわずかだが格闘技の一種を経験しており子供のころはプロレス好きでその延長で総合格闘技もそれなりに見ていた人間の判断だから当てにはならないが、この映画に、舞台となっている競技のジャンルゆえの不利はない―そうは言っても実際にはよく知らないスポーツだからよくわかんなかったなんてことはあると思うけれど、たとえば「クール・ランニング」を見る以前にボブスレーのことなんてさっぱりわかっていなかった人の方が多かったはずだろう―と言いたい。
まあ、格闘技なんて興味ないよとか、そう言わずにに見てごらんよ、と。それぐらい、わかりやすく素晴らしい作品だった。

もうひとつ、こちらは見終わってなかなかよかったなあ、監督は誰だって?とチェックしたら、あれ、最近同じ監督の作品を見たんじゃないかなあ、ああ、そうか、「ウォーリアー」の監督だったか、という「ザ・コンサルタント」。
個人的に、ベン・アフレック出演作には、「ドグマ」「アルゴ」「デアデビル」など、割と面白いと感じるものが多い気がするが、これもいい映画だった。
自閉症(ADHD? 厳密な定義がよくわからない)の少年が成長し、超人的な計算能力を持つ会計士にして、同時に裏稼業においてはこれまた超人的な暗殺者でもあるという、そういうお話。



ふたつのオコナー作品に通じるのは、「救い」である。不充足やハンディキャップや悲しみやらを抱えながら人は生きるが、やまない雨のないように、いつか晴れる、どこかに救いは見つかると言うことが、格闘技や暗殺者の荒っぽい世界を描きながらもしみじみと伝わってきて、心が冷たくならない。

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