Amazonにて「ブレイド・マスター」。

2014年の中国映画、「ブレイド・マスター」(原題「繡春刀」、英題「Brotherhood of Blades」)をAmazonでレンタル視聴。
主演は「グリーン・デスティニー」で名を上げたチャン・チェン。



明末、後に奸臣と言われ明滅亡の流れを作ったとされる宦官の魏忠賢は、国家の政を掌握するとともに、秘密警察「東廠」の長として、あらゆる情報をつかむ立場にもあった。崇禎帝の治世となって魏は都から追放された(史実ではその後自殺し、遺体は磔にされた)。
チャン演じる「錦衣衛」(これも史実に残る明朝の秘密警察で、東廠設置後はその下部組織となっていたという)・北鎮撫司(これも実際にあった役職らしい。北町奉行所与力という感じだろうか?)の沈煉らは、皇帝の命で魏一派の残党狩りに勤しんでいる。
義兄の盧剣星は、昇進を願って上役に袖の下を贈るなどしているが、うまく行かない。
義弟の靳一川は労咳病みで、元盗賊であったことをネタに、かつての兄弟子に強請られている。
三人は、「貧相な風貌だから」魏一党の息はかかっていないだろうという本気とも冗談ともつかない理由で、魏暗殺の命令を受ける。
多勢の護衛に守られた魏の屋敷(宿か?)に乗り込み、追い詰めるのだが、このシークエンス、右手で剣を振るいながら左手で小型のボウガン(弩)を使う沈のアクションがなかなかに良い。
沈は魏の居室にたどり着き、魏は沈を買収しようとする。逡巡する沈の様子に、魏の召使が業を煮やして魏を殺そうとする。暗殺の使命を帯びていたのは沈達だけではなかったのだ。召使の放った飛刀が魏に向かい、そこで場面は転換。
三人は黒焦げに炭化した魏の焼死体を宰相の韓に見せる。それがまことに魏であるか、韓は疑うが、新たに東廠の長官となった趙が庇い、その場を収めた。
しかしその趙は、魏の養子(娘婿のようにも思えるが、「太監」と呼ばれているので趙も宦官のはず)であり、生きていた魏は自分を見逃した三人の錦衣衛を抹殺するよう、趙に命じる。

魏を逃がしたのは、沈の独断だった。沈には、好いた娼妓がおり、身請けしたかった。義兄は出世を望んでいるし、義弟は強請られて金に困っている。金が欲しかった。己の欲のためだけにやったことではない。
そして万一ことが露見しても二人の兄弟に累が及ばぬよう気を遣ったつもりか、沈は兄弟に真相を打ち明けない。しかし、魏から得た大金を兄弟のために使ったりするものだから、結局は全て話さざるを得ない状況に至る。
そして巨悪は彼らの想像以上に邪悪な存在であり、彼らのちっぽけな望みは踏みにじられる。後に残るのは虚しさばかりだ。

物悲しい弦の音。それぞれ特徴のある武器を持たせたアクション。敵味方それぞれの人物造形、なかなかによくできた映画だが、やはり、寂しい。

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