ジュリアーノ・ジェンマ作品のメモ、「南から来た用心棒」。

「南から来た用心棒」(1966/伊)
監督:ミケーレ・ルーポ
音楽:フランチェスコ・ディ・マージ
主演:ジュリアーノ・ジェンマ



荒野の中の、白い城砦のような建物。毛皮の帽子やベストを身につけたロシア人みたいなおっさんが馬車に乗って現れる。行商人か何かだろうか、門衛に物を売ろうと話しかけ、油断させておいてダイナマイトを投げ始め、それを合図に盗賊団が押し寄せる。
建物は刑務所で、お尋ね者のゴルドン率いる盗賊団が次の仕事の人手を集めるために、収監されている囚人たちを解放しに来たのだった。

―ここが問題で、刑務所の看守を皆殺しにできる陣容を誇る盗賊団なら、危険を犯して刑務所を襲い、腕前も分からない囚人をスカウトに来なくてもよかったんではないか!?
わざわざそこまでしないとならず者が集まらないのかと、ちょっと呆気に取られる、ちょっと無理のある導入だが、有無を言わさず強引にストーリーを進めていくのもマカロニ・ウェスタンらしくてよいと言うべきなのかも知れない―

看守たちは皆殺しにされ、たまたま留置されていたらしい賞金稼ぎ?のアリゾナ・コルトも外に出られたが、すでにゴルドン一味と囚人たちは去った後。アリゾナは酔っ払った冒頭のおっさん、ウイスキーを連れてゴルドンの野営地に送り届け、しかし仲間入りの誘いはきっぱり断る。しかし、興味はあるのか、遠くから眺めつつ後をついて行く。
アリゾナの野宿の支度で、丘の上に煙がたなびくのを見たゴルドンは、腹心のクレイと数人に様子を見に行かせる。この後のアリゾナとクレイの一連のアクションシーンでは、体操選手だったと言うジェンマのアクロバティックな動きと、伏線とまではいえないがエンディングにも通じる変わり身の仕掛けがなかなかに面白い。白戸三平のカムイ外伝なんかを思い出した。

アリゾナに仲間を皆殺しにされ服を奪われ、ゴルドンの元に戻ったクレイは、次の仕事の下見のため、ブラックストーンの町に潜入を命じられる。そしてそれにも、つかず離れず絡むアリゾナ。
ブラックストーンに着いたクレイは、酒場の看板姉妹の妹と一夜をともにするが、油断して強盗団の証である腕の焼印を見られてしまい、彼女を殺す。クレイはすぐに姿を消したため、犯人だろうと目星が付くものの確証は無いのだが、結局強盗団が計画を実行に移し、クレイが犯人であることが明らかになって、姉妹の姉の方がアリゾナに仇をとることを依頼する。

クレイを倒したもののゴルドンに両手を撃たれてしまったアリゾナは、町外れにあるらしい廃墟に潜伏し傷を癒すのだが、そこへ一味のあくどさに耐えられなくなったらしいウイスキーが、ゴルドンが隠していた金を盗んできて、その金を賞金にゴルドンを倒すよう依頼する。

ここから後は説明しすぎるのも野暮なのでメモは残さないが、とにかく終わりよければすべて善しと言う展開になっていく。如何せん、ゴルドン一味が残虐すぎるし、アリゾナもいまいち何を考えているのかわからんし、そもそも用心棒と言うよりは賞金稼ぎではないかと言う気がするし南から来ているのかも怪しいがそれは邦題の問題であって作品そのものとは関係が無いが、いずれにせよ突っ込みどころの多い作品だ。

しかし、フランチェスコ・ディ・マージの音楽があまりに素晴らしく、主題歌が流れるとすべて許してしまおう、そんな気になってしまう。この時代のプログラムピクチャー的な作品にしてはサウンドトラックが入手しやすいので、映画が気に入ったら是非聴くべきだ。

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