ジュリアーノ・ジェンマ作品のメモ、「荒野の1ドル銀貨」。

連休は、留守居をする必要がある日もあって、ほぼずっと家におり、専門チャンネルをながら観したり、録画を観返したりしている。少し前に、セルジオ・レオーネ作品がまとめて放映されていたのを観て、マカロニ・ウエスタンが瞬間的なマイブームになっており、ここ3年ほどの間に録っておいたジュリアーノ・ジェンマ作品を観直しているのだが、邦題が適当な所為かどの作品がどんな話だったか紛らわしいので整理しておきたい。

「荒野の1ドル銀貨」(1965/伊・仏)
監督:カルヴィン・ジャクソン・パジェット(ジョルジオ・フェローニ)
音楽:ジャンニ・フェッリオ
主演:モンゴメリー・ウッド(ジュリアーノ・ジェンマ、ジェンマの表記なし)



タイトルロールはシンプルだが力強い色使いのセル・アニメーション。如何にもウエスタン調のタイポグラフィを用い、口笛(で歌唱が入らない)が主旋律を奏でるテーマ曲と相俟って非常に素晴らしい。
ジェンマはモンゴメリー・ウッド名義。その他のキャストと監督の名前もアメリカ風だ。しかしスタッフの役割はイタリア語表記で、スタッフの名前も英米風に改められてはいないので、これがアメリカ映画でないことは分かる。ただ、脇の役者さんの本来の名前はさっぱり分からなくて困る。

南北戦争が終わった頃。ゲイリーとフィルのオハラ兄弟は南軍の将校として捕虜になっていたが終戦で解放される。捕虜たちには所持していた拳銃が返還されるが、銃身が切り詰められまともに狙いが付けられないものになっていた。
負け犬のまま南部に帰りたくないと言うフィルは家の柱時計に隠した貯金箱の鍵を兄に渡して、一旗上げるべく西部のイエローストーンへ向かう。ゲイリーは一旦妻の待つ家へ帰るが、南部に希望は無く、フィルの貯金箱から1ドル銀貨1枚だけを取り、残りを妻に託し、家を売って3ヵ月後に追ってくるよう伝え、先にフィルのいるイエローストーンを目指す。

イエローストーンに着いたゲイリー。仕事を探すが、後述の理由で元南軍関係者の評判が悪く、町の人はよそ者にはひどく冷たい。どうにか町の顔役で銀行家のマッコーリー(演じるのはピーター・クロスこと、ピエール・クレソワ。フランス人俳優で、1944年ごろから舞台で活躍していたらしい)に会い、腕っ節の良いところを見せて頼みごとをされる。悪漢の“ブラック・アイ”を保安官に引き渡して欲しいとのことだ。
酒場でカウンターに向かっているブラック・アイに声を掛けるゲイリー。振り向きざま、ブラック・アイの銃が火を噴き、ゲイリーが倒れる。相手の顔を見て、自分が撃ったのが兄だと驚くブラック・アイことフィル。その隙にマッコーリー一派がフィルを撃ち、後から街に戻ってきた保安官には、丸腰の者を守るために撃ったということにして、罪を逃れた。
兄弟は通りかかった南部出身者の夫婦にゆだねられ埋葬されるが、ゲイリーは一命を取り留めていた。フィルが放った銃弾が、胸のポケットに入れていた1ドル銀貨に当たって威力がそがれたためだった。

町の周りには開拓地があり、土地を持って農業に勤しむ者たちもいるが、南軍崩れの盗賊に悩まされていた。しかし、実はマッコーリーが配下のならず者たちに南軍の軍服を着せ、自分が金を貸した農家を襲わせて借金を返済できなくさせ、土地など一切を奪い取ろうとしているのだった。
農家のドナルドソンは自分の知人を呼び寄せて銀行を開かせ、マッコーリーへの借金を借り替えようとしていたが、それを知ったマッコーリーに命を狙われる。そこへ舞い戻ったゲイリーが刺客を倒し、ドナルドソンを救う。そしてドナルドソンから、ブラック・アイが農民の味方であり、盗賊から守ってくれていたのだと聴かされ、マッコーリーの悪事に気づく。そして、フィルがマッコーリーを追い詰めるための何かを入手していたと聴かされ、今はマッコーリーの手下たちの根城になっているフィルが住んでいた廃屋へ向かう。

以降、そこまでやるかと言いたくなるエピソードがあったり、ゲイリーの妻がやって来て予想通り人質になったりしつつ、序盤の出来事をきちんと回収して物語は終わる。
エンドロールでは歌唱入りの主題曲が流れ、これがまた素晴らしい。

コメント

人気の投稿