SHUREのモニターヘッドホン、SRH440。

SHUREのモニターヘッドホン、SRH440を入手した。
室内用のまともなヘッドホンは長らく使っていないので比較の対象が無い。10代の頃、当時としてはかなり思い切ってゼンハイザーのHD414を買い、オープンエアだから外では使えないものの当時はウォークマンもまだ無かったわけで外で使うという概念すらなかったわけだが、そんなことは兎も角イヤークッションを交換しながら20年ほど持っていた。シンプルなつくりで、壊れるところがほとんど無かったから長持ちしたのだろう。その後はパイオニアの中級モニター機を経て、現在はe-イヤホンで見つけたNEUと言うPA関連のメーカーが出している安いものと、しばらく前に外出時用に買ったAKGのK404を持ってはいるけどたまにしか使っていない、と言う状況が数年続いていた。

少し前から家庭用のそれなりのヘッドホンが欲しくはあったのだが、家でヘッドホンで耳をふさいでいるシチュエーションと言うのがあまり無く、電車の中なら孤絶してもよいのだが家庭で家族とともにいて孤絶してしかも呼びかけられても聴こえない状態になるのは如何なものかと言う思いもあるのだが…大きな音では鳴らせない集合住宅ゆえ、まあ、いいじゃないかと。

選択基準は明快だった。
・ケーブルの交換が出来る、補修パーツとして用意されているもの。
・交換用イヤーパッドが用意されているもの。
そうすると、所謂「モニターヘッドホン」しか、ほぼ選択肢に残らない。
有名どころでそうしたラインナップをそろえているのは、AKGか、オーディオテクニカか、SONYか、SHUREか。 そしてこの中で、最近、商品を手にしていないのはSHUREだけなので、人様のレビューを参考に、試聴もせずに手配した。数千円足すだけで上位機種を買えるのだが、一気に重量が増すので、そのあたりのバランスも考えると、SRH440が最も良さそうだった。

SHUREはアナログレコードの時代、フォノ・カートリッジのメーカーとして高名を轟かせていた。友人は代表機種V15シリーズのTypeIIIだったかIVだったかをメインに使っていたし、私はオーテクのMC型をメインに、サブでSHUREの廉価機種であったM95だったかM97だったかのHEモデルを使っていた。私のほうは、普段は安価なSHUREで聴き、クラシック系の音をしっかり聴かねばならないときはオーテクのMCに換える、そういう使い方だった。しかし、友人のV15は、当時の世界のフォノ・カートリッジの中でも非常に優れたもので、好事家向けのオルトフォンなどに対する評価とは違う価値観の元ではあったが、SHUREこそナンバーワン・ブランドであったと言えるのではないかと思う。



そんな昔の信頼感が、違う分野の商品ではあるが、SHUREを選ばせたわけだ。
それはさておき、届いたSRH440で早速あれこれ聴いてみて、まだ数時間の使用でエージングが全く足りていない状態だが、ファーストインプレッションをメモしておく。

●装着感
カタログスペック以上に軽く感じる。頭は大きい方だと思うが、バンド長の調節にはまだ余裕を残している。側圧はあまり強いとは感じない適度なもので、イヤーパッドのフィット感もよく、周囲の音はほとんど聴こえない。

●音質
モニターヘッドホンだからと言って平板で味気ないというほどでは無く、エアロスミスなどロック系の楽曲のノリのよさが霞んだりはしないが、分析的なところがあるので音楽が塊ではなく個々のパートとして提示されてしまう。と言ってもそれこそが分解能の高さ、モニター機らしさだろう。
また、味気なくないとは言え味付けが濃すぎないので、クラシックでも、例えば器楽独奏の小曲などでも違和感は無い。解像感がしっかりあって、グレン・グールドの録音なんかだと鼻歌が克明に聴き取れる。

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