「高座55周年 特撰 入船亭扇橋」。

ミヒャエル・ギーレン指揮のマーラー全集を聴き進めようとしていたのだが急に暑くなって交響曲を聴く気力が湧かない。
そんな折り、東京の落語家、入船亭扇橋さんが、7月11日に亡くなった。
東京在の、猫に「歌丸」と名付けるような友人がいて、随分昔のことだが「先日鈴本(だったと思うが…)で入船亭扇橋師匠の噺を聴いて云々」と言うような手紙をもらったりしていたので、長く関西に住んでしかも特段落語を愛好してきたわけでもない私でも、扇橋さんのお名前は存じ上げていた。
その名を久々に目にしたと思ったら、訃報だったのだ。

一方この件とは全く関係なく、何故か良く分からないがこの春ごろから、Youtubeで落語を、それも、住んでいる上方の落語ではなく東京の落語を聴くようになっていた。中でも六代目三遊亭円生さんのものが良い感じで、あれこれ聴いているうちに、出囃子が鳴り止んで「えー」と言う、その一言でおお、これはいいと、妙な感心の仕方をするようになっていたのだが、同じようにいい塩梅の「えー」から入るのが、扇橋さんだなぁ、と。
円生さんはかつて落語協会の分裂騒動を引き起こした張本人で、その原因のひとつが、「真打」昇進に対する価値観の相違だったそうで、円生さんご自身が落語協会会長の在任期間7年においては、3人しか真打昇進を認めなかった(退任翌年、20人が昇進)。そのたった3人のうちのひとりが扇橋さんだったとのことで、浅学な私がYoutubeで「ねずみ」など聴くかぎりでもその丹念でくだけたところの無い語り口には、ご両人に何か通じるところがあるような気がする。



もともと、そろそろ本格的に勉強しようかと円生さんの十八番集でも取り寄せるつもりだったのだが、こうしたタイミングだし扇橋さんをもうちょっとしっかり聴き込みたいと、CDボックスセットを注文したのが届いた。
CD4枚組みに、11の噺を収録している。入門から55周年の2012年にリリースされたセットだが、音源は扇橋さん40代の、1978年から79年のもの。桂枝雀との二人会を収録した1枚目を聴くと、マクラで関西から人気の若手の枝雀さんが来られて云々と。そういう時代の録音だ。

[DISC:1]
1. ねずみ
2. 三井の大黒
[DISC:2]
1. 加賀の千代
2. 応挙の幽霊
3. 文七元結
[DISC:3]
1. 千早ふる
2. 一眼国
3. 寝床
[DISC:4]
1. まんじゅうこわい
2. 権兵衛狸
3. 富久

「ねずみ」以外は、扇橋さんのは聴いていない。「まんじゅうこわい」は子どもの頃に、誰のかは覚えていないがTVで観た。「文七元結」は、Youtubeで円生さんのを聴いたことがある。その程度の、ド素人ではあるが、これを聴きこんで少しばかり落語と言うものを理解できればと考えている。

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