ロストロポーヴィチのバッハ、無伴奏チェロ組曲。

しばらく前にバッハの無伴奏チェロ組曲をあれこれ聴いてみて、結局、一番長く親しんでいるポール・トルトゥリエの1960年代の録音が自分にとってのベスト、と言う結論を出した。しかしまだまだ聴いていない録音はあり、その中には大御所の有名なものも残っている。
そんな中から、EMIレーベルが消滅してワーナーのロゴに変わってしまったロストロポーヴィチの全曲録音を取り寄せてみた。
録音は1992年、シュタルケルの4度目の録音と同じ年だ。ロストロポーヴィチの唯一の全曲セッションレコーディングで、この大物にしてはそれが65歳の時と言うのはちょっと遅い気がする。ソ連時代にはバッハを吹き込む機会が無かったのだろうか。




ロストロさんと言えば、指揮者としても奏者としても、重い、力強い、と言う印象で、テンポ遅め、力の入った演奏を想像していたが、それは覆された。
やや硬質な感じはあるものの、軽やかだ。曲によって大胆に変化をつけているのかと思いきや、そう言う訳でもなく、全体に、早め、軽めで、こちらの先入観の所為もあろうが、さらさらと流れていく印象。音楽家の65歳はまだまだ枯れる年齢ではないが、なにやら達観したような演奏に聴こえる。
何だか狐につままれたようだ。

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