ヴァレンティナ・リシッツァのショパン、エチュード。

昨年暮れにヴァレンティナ・リシッツァの新譜が出ていたので、妻にあげようと取り寄せ、また妻から借りて自分でも聴いてみた。ショパンの練習曲集、作品10と25のセットで、ここまではよくある組み合わせだが、さらにシューマンの交響的練習曲が加えられ、85分超の長時間CDとなっている。



ショパンの練習曲はアラウとガヴリーロフのものを持っており、前者はややまったり気味だがコクがあり、後者はスピーディに弾き飛ばすとでも言うか、そうした勢い、ノリのよさがある。おそらくリシッツァは超絶的な技巧、速さで圧倒してくれるのだろう。
そう思って聴き始めると、まことに端正な演奏で、録音も瑞々しく、美しい。飛ばすと言う気配はなく、精緻と感じられる。技巧をひけらかすのではないが、すでに技巧は並外れているので、気圧される。
しかし、このディスクを人におすすめできるかと言うと微妙だ。長時間収録でも時間が足りなかったのか、各曲の終りの残響が無残にも無理やりフェードアウトされており、曲によってはぶった切られたように感じられるものさえあるのだ。もう少しゆったりと尺を取って、自然にフェードアウトさせて欲しかった。無理にシューマンまで収めねば出来たはずだし、ショパンだけでも売れるのではないかと思うのだが。非常に残念だ。

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