スヴェトラーノフのショスタコーヴィチ選集。1,5,6,7,9番と森の歌。

エフゲニー・スヴェトラーノフのショスタコーヴィチはこれまで持っていなかったので取り寄せた。旧ソ連の録音でおなじみのVeneziaレーベルから10月に出た、交響曲5曲と、祝典序曲、森の歌を収めたセットだ。スヴェトラーノフは旧ソヴィエトの大指揮者だが、意外と、日本で発売される音源は息が長くないというか、定番になっていない気がする。



録音は、1番が1966年のモノラル、ライヴ。6番が79年だがやはりモノラルのライヴ。5番は77年、9番は78年のステレオ録音。7番は68年だがステレオだ。フィルアップの祝典序曲は78年のステレオ録音で、このセットの目玉の一つであろう森の歌は78年のステレオライヴ。

祝典序曲から聴くが、まあ、昔のソ連の録音で、キンキンした感じだ。スピーディで力感があり、金管は特によく響く。よく言われるスヴェトラーノフ指揮の印象そのままだ。
久々に聴いた森の歌はソロ歌手たちの声がよく、親しみやすい曲調に乗って聴き応えがあるが、ショスタコーヴィチの作品としてそれほど魅力的には感じないものであり、こんなものだろうと言う感想。合唱の場面では録音の悪さが気になる。

交響曲も、やはり同じような感じで、1番、6番は、モノラルのライブと言うこともあり期待していなかったが、面白いのは、どちらも所謂『戦争交響曲』であるかのように聴こえてしまうところだ。特に6番はモノクロの無声戦争映画の背景に流れていそうで面白かった。
となると『戦争交響曲』の代表作である7番は、まさに戦火を具象的に表現したかのようだ。軍靴の響き、機銃掃射の音、そのものとしか聴こえなくなってしまう。
残る9番は異様なスピードで早送りをしているかのよう、しかし5番は確かに金管が強いものの割りと真っ当。
録音はあまり良いとは感じなかったが、昔のソ連の録音としては悪くない。日常的に聴くものにはならないような気がするけれども、いかにもソ連のオケらしい(こちらの先入観によるものだろうが)スピーディでキンキン、ガンガンくる演奏が楽しめるセットだ。

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