ルドルフ・バルシャイのショスタコーヴィチ交響曲全集。

ショスタコーヴィチの交響曲全集では、最初にセットではなく単品で集めたコンドラシン指揮モスクワフィルのものに、随分経ってハイティンク指揮、ロンドンフィル&コンセルトヘボウのもの、また数年開いて入手したロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト文化省交響楽団のものを加えて、3セットしか持っていない。
第一人者のムラヴィンスキーにまとまった全集が無く、ショルティやオーマンディは全曲を残していないなど、全集と呼べるセット自体、マーラーに比べると選択肢が少ない上に、録音面、演奏面ともに質の良いハイティンクの全集で十分と言う思いもあって、積極的に揃えようとしてこなかった。例えばロストロポーヴィチは鈍重で大袈裟な気配、息子マキシム・ショスタコーヴィチのはオケが弱そうな上に全曲ライヴで、と言った具合に、気になる商品はあるが手が出せずにいる。
そしてもうひとつ、ルドルフ・バルシャイとケルン放送交響楽団の全集も気になっていて、これは買う気はあったが大ベストセラーだからいつでも買えるだろうと思ってそのままになっていたのだが、いつの間にか値上りしてそのまま高値安定して来たのが急に最近また下がってきたので、取り寄せてみた。
第1番から順番にディスクに割り振り、計11枚組み。録音は1992年から2000年までにまたがる。



Disc1から聴き始める。1番、2番、3番が順に収録されている。1番と3番が94年、2番が95年の録音だ。
前衛よりに舵を切った2番と3番は苦手だし聴いても身が入らないが、1番は音楽院の卒業制作とは思えぬ完成度を誇る傑作で、このデキが、全集の第一印象を決定付ける。なるほど、かっちりした節度のある演奏で、丁寧に感じる。第二楽章で中近東的というかユダヤ的というか、エキゾチックなモチーフが現れ、スピードを上げていくところなど、落ち着いていて危なげない。もう少しスリリングで危ない感じがあってもよいが、そこまで行かないもののなかなか切れ味が良い。終楽章も小気味良く、大袈裟になりすぎず、しっかりとまとめ上げている。全般にオケがコンパクトに感じられるのは、それだけ統制が取れまとまりがよいからだろうか。
バルシャイはショスタコーヴィチの14番の初演を手がけているほどだから、解釈に間違いはないだろう。2001年発売で、今もタワレコの店頭で見かけるロングセラーで、ブリリアント・クラシックスレーベルでも最大級のヒットだと思われるが、なるほどこれは期待できそうだ。

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