翻訳ミステリの文庫2冊、「機械探偵クリク・ロボット」、「ヴァイオリン職人の探求と推理」。

スマートフォンを触るようになって読書量が落ちているし、買った本がなかなか読み進められなくなっている。そんな中で思った以上に時間がかかったが、読み終えた本のメモ。



「機械探偵クリク・ロボット」は、フランスのユーモア作家カミの中篇2作をまとめたもの。ハヤカワ・ミステリ文庫の一冊ではあるが、軽いナンセンス・コメディとしての色の方が濃い。超人的な頭脳を持つ万能な名探偵たちへの揶揄なのだろうか。
軽妙洒脱だがひねくれたところや暗号文などもあるためか意外と歯ごたえがあった。



ポール・アダムの「ヴァイオリン職人の探求と推理」。作者はイギリスの作家で、他の作品を知らないのだが、何となく面白そうだったので予約時点で注文を入れた。イタリアを舞台に、名器とされるヴィンテージのヴァイオリンを巡る殺人事件に巻き込まれつつも結局事件を解決に導くヴァイオリン職人の物語。
ミステリーとしてはそれほど複雑ではないが、ストラディヴァリやグァルネリなどの名器や作者の逸話がふんだんに盛り込まれ、一度物語に入り込むとぐいぐいと引き込まれる。取引の裏側や、オークションや、贋作作りなど、興味深い要素がたっぷりと詰め込まれているのも読み応えがあるし、ハイフェッツやパールマンなど名手の名前が出てくるのも好きな人にはたまらないだろう。私はグリュミオーの名が出てきてにやりとした。
続編も近々刊行されるようで、楽しみだ。

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