安田謙一郎の無伴奏チェロ、コダーイとチェレプニン。

マゼールとフィルハーモニア管のマーラー、5番と6番が、どうも捉えどころが無いので何回か聴き直しているのだが、先日トルトゥリエのバッハを聴いたためかチェロ独奏の曲が聴きたくなり、合間に安田謙一郎さんのコダーイを取り寄せた。
コダーイの無伴奏チェロソナタは、「ハーリ・ヤーノシュ」と並ぶ代表作なのだが、随分前にNHKでスティーヴン・イッサーリスだったかピーター・ウィスペルウェイだったか―どっちだっかさえ覚えていないのは情けないが―の演奏を視聴して、あまり感心しなかったために、その後積極的に聴くことがなかった。しかし最近Youtubeであれこれ聴いてみると、なかなか面白いと感じられるようになっていたので、懐かしいDENONのPCM録音盤であることもあって、このディスクを取り寄せた。
Wikipediaによると安田さんは1944年生まれでチャイコフスキー国際コンクールのチェロ部門第3位、フルニエのアシスタントを務めたという方であるから、技術面では何の不安もあるまい。



非情に、鮮烈な音。いい録音だ。チェロの胴が、眼前に現れる様だ。運指で生じる、キンとかザッと言うノイズや息遣いまで確り捉えられていて、それが邪魔ではなく臨場感を高めている。やや晦渋だが、歌うような旋律が現れたり、ピチカートを交えたり、集中して聴くとなかなかに転換の激しい曲だが、一気に聴かせきってしまう。ところどころ、マスターテープに起因するものと思われるノイズはあるが、気迫の篭った演奏の前には気にならない。
フィルアップはアレクサンダー・チェレプニンの無伴奏チェロ組曲。7分ほどの小品で、初めて聴いたが、日本の民謡や昭和の古い歌謡などにも通じる旋律が現れてなかなかに面白い。

コメント

人気の投稿