マゼールとフィルハーモニア管のマーラー第2番、第1番。

マゼールとフィルハーモニア管とのマーラーチクルスから、第2番を聴く。
1~3番のセットで5枚組み、1番は1枚に、2番と3番はそれぞれ2枚にまたがっている。2番が80分を超えているのは今時ではよくあることで、マゼールの前の全集でもそうだった。
遅めの入り。前回の全集とはオケもホールも違うからか、あまり重々しくは無いが、緊張感は高い。その後も、音量はやや控えめに感じられ、テンポもゆったりと取っている。そのため歌唱が入るところでは、声は上手く引き立つ。
終楽章の冒頭など、メータなど多くの録音で、またマゼールの前の全集でも、これでもかと言う力の入り方、爆発力を感じさせられたが、今回はそれほどでもなかった。そうして聴き進め、つまるところ、歌唱の見事さぐらいで、大きな山場として印象に残るところは余り無い。

1番の方も同傾向で、弱奏部は特に音が控えめだ。ゆったり丁寧な進行も同様だ。
ワルターとコロンビア響では第一楽章の澄明な空気感、クーベリックとバイエルンなら第三楽章の卑俗さを漂わせた歌謡性、ジュリーニとシカゴでは全体を通した古典的な端正な造形といったところが、これまで聴いてきた1番の聴きどころで、マゼールとウィーンフィルでは第二楽章、舞曲の流麗な華やかさがそれであったわけだが、今回の録音は押しなべて丁寧ではあるが安全運転というべきか。おそらくチクルスの最初の演奏だろうから、多少手探りしながらだったのかと推測されるが、終楽章に至るまでは、やはり山場と感じさせるところが無かった。

3番では、ウィーンフィルにしばしば感じてしまういやらしさが無い分、よい出来と感じたが、1番2番では、音量の設定でやや不満が残った。と言ってもこれは演奏そのものよりもライブ録音故のミキシング、ダイナミックレンジの取り方の問題かも知れない。
週末には4~6番のセットが発売され、週明けには予約していたのが届くだろう。次はどうだろうか。番号順に聴いて、チクルスの練成を確認していくべきかと考えている。

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