ジュリーニとコンセルトヘボウ管のドヴォルザーク、9番。

一番よく聴くのは交響曲で、マーラーとショスタコーヴィチが最も多く、次いでベートーヴェン、ブラームス。モーツアルトやハイドンは苦手、シューベルトも退屈。その中間ぐらいで、時々聴くのがチャイコフスキー、シベリウス、もうちょっと頻度が低いのがシューマン、ドヴォルザークあたり。
ドヴォルザークは9番を3枚ほど、他の曲は、交響曲以外を全て合わせても数枚しか持っておらず、ノイマン指揮チェコフィルの交響曲全集を何度か買おうと思い立ったのだが、何故かそのたびに他にも欲しいものが出てきて、何年も買わないまま過ぎた。今では、9番と、弦楽四重奏曲「アメリカ」ぐらいしか聴かなくなっている。

9番を、久々に、それも今持っている以外の演奏で聴きたくなった。売り場面積が1フロア分狭くなってしまった難波のタワレコの、かなり狭くなったクラシックコーナーを覗くと、ジュリーニ指揮コンセルトヘボウ管という組み合わせのディスクを見つけたので、これを聴いて見ることにした。

   

録音は1992年。ソニーの廉価シリーズで、金も手間も込められていないデザインのジャケットはいただけないが、仕方が無い。カップリングはラヴェルの「マ・メール・ロワ」組曲版だ。
アナログ時代に聴いていたのはロストロポーヴィチ指揮ロンドンフィルのものだがこれは今持っていないので、手持ちの中から、長く聴いていなかったスイトナー指揮シュターツカペレ・ベルリンの録音をスマートフォンに移しておいた。
先にスイトナーの方を聴く。マッシヴというか、エネルギーは詰まっている。しかし、音場はコンパクトで、スケール感は余り無い。そして、速いと感じる。コンパクトなスポーツカーとでも喩えようか。勇壮な第一楽章、第四楽章にはまずまず好適だが、もうちょっと雄大な広がりが欲しくなる。
そしてジュリーニ。キャリア後半の録音全般に通じる、ゆったりとした構えだ。オケは超一流で流麗、SBM技術で気合を入れていた時代のソニーの録音をさらにリマスタリングしているそうで、各パートがクリアに立ち上がってきて煌びやかでもある。晩年のジュリーニの録音は、ややもするとゆったりしすぎてだるくなりかねない―シューベルトなんかそうだ―が、この曲では多少のんびりしていても影響はなく、求めていたものは概ね満たされた。もっと大袈裟でもよかった気もするが。

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