ジョン・エリオット・ガーディナーのベートーヴェン全集。

年末になって、第九を、それも今まで聴いていないタイプのものを聴いてみようかなと言う気になり、サー・ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークの演奏によるベートーヴェンの交響曲全集を取り寄せた。

指揮者もオケも名前が長くて大変だが、それはさておき、この全集を選んだのは、これが「オリジナル楽器派」とか「ピリオド楽器による~」と言った分類をされる―どの呼び名が最もふさわしいのか分からないのだが―作曲当時の楽器や奏法で演奏された全集であり、個人的に今までその手のものを聴いてきておらず、試してみようと言う思いがありながら、半ば不安もありつつ、結局Youtubeで試聴してこれは面白いと感じたからだった。



不安があったのは、古楽演奏の大家であるアーノンクール指揮のブラームス全集がいまいちだったという、ただそれだけで、実際にピリオド楽器での演奏を聴いてつまらなかったわけでもなんでもない。
第1,2番を流し聴き、まず印象的なのは歯切れのよさ、スピード感。それにより、大小強弱の変化、休止などの転換が、目覚しく感じられる。
3,4番も同様だが、3番については、少し軽すぎるのではないかと感じられた。4番、あるいは8番のような、余りスケールの大きくない作品では、メリハリが効いて小気味良く、ダイナミックで、楽しく聴く事ができる。余り好みでない5番、6番についても同様。
目当ての9番は、一度Youtubeで凡そ聴いているのだが、スピーディな展開によって、最終楽章のしばしば能天気と感じる転換が一気呵成に押し寄せてくるためか勢いに押されて聴き通してしまえるもので、歌唱もテンポ良く歌手や合唱の皆さんは大変かもしれないが面白く聴けるものだった。
そして7番、恐らく快速でリズミカルな演奏に最もマッチするだろうと勝手に想像していたらその通りで、非常に軽快でメリハリの利いたものだった。自分の場合、重厚長大に走られすぎると間延びして飽きてしまうようなところがあるのかもしれない。そういう点で、なかなか理想的なベートーヴェンではないかと感じた。
ただ、これもひとつのあり方であって、どの曲もちとあっけなく終わってしまう様な印象は残っているし、交響曲らしいどっしりと大袈裟なものが聴きたくなる時もあるだろうとは思う。

コメント

人気の投稿