ブーレーズとウィーンフィルのマーラー第6番。

ブーレーズのマーラー全集、6番は1994年、ウィーンフィルとの録音だ。



ゆったりと遅めの導入。異様とさえ言われるバルビローリとフィルハーモニア管の録音ほどではないが、遅い。そして、5番でも感じたように、音がふくよかで厚みがある(それなのに、録音の良さか音が混濁することも無く見通しも良い)。この曲ではどちらかと言えば速めで、急き立てられるような演奏が好みだが、これはこれで悪いとは思わない。しかし、アルマのテーマが現れるところなど、転換の目覚しさをそれほど感じないのは、このテンポ設定によるのではないかと思える。
速くはないのだが、無駄に引っ張ったり粘着的だったりぜず、気がつけばスケルツォに進んでいる。これを第二楽章においているのはありがたい。アンダンテが第三楽章にある方が好ましいからだ。
そのアンダンテは、その他のパートは変わらず落ち着きと厚みを感じさせてははくれるものの、残念ながらヴァイオリンがピーキーで耳につくようなところがあった。しかし続く終楽章は悲劇的なクライマックスを盛り上げつつも、見通しの良い分析的な組み立てで、面白く、なるほどブーレーズらしいとはこう言う事だろうと得心できた。

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