S.J.ローザンの「永久に刻まれて」。

コミックスと文庫本の新刊を探すときには、いつも出版取次ぎの太洋社さんのWebサイトを利用させてもらっている。「コミック発売予定一覧」、「文庫発売予定一覧」といったページがあり、コミックスは前々月の終わりぐらい、文庫本は前月の半ばぐらいには発売スケジュールが掲載されるので、それを見て予約を入れたりしている。

いつものように眺めていて、S.J.ローザンのリディア・チン&ビル・スミスものの短編集を見つけたので注文しておいたのが届いた。ギャリコ、ウィングフィールド、ローザンと、、自分にとっては好ましい、しかしけしてしょっちゅう新刊が出るわけではない作家の文庫がこのところ立て続けに発売されていて、ちょっと妙な感じだ。



日本独自企画の短編集、2集目だが、掲載順で最初の2作品は、長編シリーズが生まれる前のものだそうだ。特に2番目の「千客万来の店」は、リディアが初めて主人公となった作品らしく、シリーズの原点と言っても良いかも知れない。その他にも長編に影を落としている出来事が描かれた作品があり、コミック・リリーフ的な存在であるリディアのお母さんが語り手となった作品もあり、ファンであれば読んでおかねばならないと言えよう。
長編に比べれば、どうしても出来事はシンプルに、推理や調査はスピーディに、全般的にさくさくと描かれる。こちらもとんとんと読み進めてしまうわけだが、それはそれでリズム感があって心地よいし、短編らしいオチの効き方も好ましく、作者の力量を思い知らされる。
ただ、やっぱり長編の新作が読みたくなってしまうのは、好みの問題か。

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