ライナー&シカゴ響の「大地の歌」。

マーラーを聴くようになって30年ほどになる。30年前はLPレコードで、1番が中心で、次いで「大地の歌」を良く聴いた。今は、9番を至高と捉え、1番は余り聴かなくなったが、「大地の歌」は変わらず好ましいものとして愛聴している。
4番が非常に素晴らしいフリッツ・ライナーとシカゴ響が、「大地の歌」の録音も残していることは前々から気にしていたのだが、店頭では見かけないし、何となく後回しになっていたのを、ようやく取り寄せた。RCAのSACDハイブリッドのシリーズの1枚で、録音は1959年。オリジナルのマスターは3チャンネル録音で、位相に問題があったのを、丁寧に直したものとのことだ。
女声はモーリーン・フォレスター、男声はリチャード・ルイス。フォレスターはワルターの2番でも歌っていて、少し太いなあという印象が残っている。



さて冒頭、少し音が遠いような印象。演奏は若干速目か、せかせかした感じだが、歌が入ると落ち着いて聴こえる。ルイスの声は、遠さはともかく適度な張りで好感が持てるが、オケが強めで、かぶせ気味になる。これはこの曲としてはありがちだが、このバランスは難しいのだろうか。
そのうち音が遠いような気も余りしなくなるのは、単にこちらの耳が慣れたということなのか、よくわからないが、聴き進めるうちに、すっかり馴染んで楽しめるようになる。フォレスターの声も、余裕があると言う感じで、ワルターの2番での野太い印象は無い。
そしてさらさらと流れて気がつけば終曲「告別」にたどり着く。オケと声とのバランスなど不満は無くはないし、録音の瑕か、ピッチが狂ったように感じる部分もあったが、フォレスターはなかなか素晴らしいと感じた。
あっさり気味なマーラーを好む私にとってさえ、スピーディで淡々とし過ぎているかもしれないと思うほどだから、マーラーにどろどろとした情念を求める人には全く向かない演奏だろう。

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