タイラー・ハミルトンの「シークレット・レース」に関する追加のメモ。

Amazonのレビューなど見ると、タイラー・ハミルトンの「シークレット・レース」は日本でも多くの読者に支持されている様だ。
今年になってもプロ・ロードレースの世界ではドーピングの話題が尽きず、さらにはドーピングに目を瞑ってきた諸悪の根源の一人であろうUCI会長のパトリック・マックェイドが、会長選に向けてあくどい工作をしていると言うニュースも入ってきて、さらにキナ臭い様相を呈している。

中でも最も私の注意をひきつけたのは、サイクリングタイムさんのこのニュースだった。

1998夏、ドーピングをしていた男たちのツール~前半:なぜ今公表されるドーピング陽性?容認されていたドーピング?隠蔽してきたのは誰?名選手の名前がズラリ、汚れた手で掴んだ名声のツケは?

1998夏、ドーピングをしていた男たちのツール~後半:UCIの言い分は?今後のサイクリング界にとって本当にいい方向に進んでいる?新たなドーピング手法の存在は?

ここには、今までグレーだった人々の名前がはっきりと挙げられている。
ウルリッヒ、ツァベルの名前はいまさらだが、チポッリーニ、パンターニ、ジャラベールの名前が明言された波紋は大きいだろう。チポッリーニは現役引退後にトリノ五輪だったかで旗手か何かを務めていたように思うが、真っ黒だったのによく臆面も無く引き受けたものだと思わずにいられない。
また、この期に及んでもまだ断定ではなく、ほぼ断定という表現ではあるが、メルクス息子、オグレディ、ジューリックらの名前も出ている。オグレディは本人も認めているそうだが、ジューリックも認めていなかっただろうか?

今年のツール・ド・フランス、優勝はクリス・フルームだった。真面目には見ていないもののカデル・エヴァンスをひそかに応援していたので残念だったが、アームストロングの汚れた時代が終わってから頭角を現した選手が勝ったという事実には、少しだけ明るいものを感じている。
しかし一方、フエンテス医師と関わったとされるアレハンドロ・バルベルデがいまだに出走し、終盤まで上位を争っていたりしたのには興ざめで、こいつら永久追放できないのだろうかとも思わずにいられない。フエンテスと関わったが「レースでの実行前」とのことで軽い処分ですんだイヴァン・バッソも、本当は真っ黒だったのではないかと思うと、もう直視できない。



「シークレット・レース」では、かつてウルリッヒが見せたレース中の突然の不調などについて、血液の保存状態の問題などによる血液ドーピングのトラブルが原因だったろうと語られている。
それでふと思い出したのが、パオロ・サヴォルデッリが優勝した2005年ジロ・ディタリアでの、バッソの突然の体調不良だ。優勝が狙える位置にいながら消化器系の不調だか何かでレース中に吐いたとか。どうにか完走したが優勝争いからは脱落。しかし、その後のステージでは圧倒的な走りでステージ優勝を飾ったりして見せた。当時は意地を見せたと言ったきれいごとで評価されていたし私も家内もTVに向かって無邪気に驚いていたが、そう、あれもドーピングのトラブル、ミスだっただけではないかと思えるのだ。
ランス・アームストロング一派はフェラーリ医師を擁し、他の有力選手たちはフエンテス医師に頼ったと言う。フエンテスの助手は知性に問題があったとも言われ、結局、フェラーリとフエンテスの差がアームストロングと敗者たちとの差となって現れたと言っても過言ではなかろう。

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