タワレコ限定、プレヴィンのショスタコーヴィチとプロコフィエフ。

タワレコは廃盤を復活させたりしてくれて時々そういう中にいいディスクがあるのだが、6月にアンドレ・プレヴィンがシカゴ響を振ったショスタコーヴィチがリリースされていた。
交響曲第5番の方は、以前に別のディスクで注文したものの在庫切れで諦めたことがあったので、この復刻はうれしい。2枚組みで、カップリングは同じくシカゴ響との4番、そしてプロコフィエフの交響曲第7番と「キージェ中尉」も含まれており、プロコフィエフの2曲もかなり好きな曲であるから、これはもう飛びつくしかない。
もう1セット、8番と10番と言うのも同時にリリースされているのだが、こちらはそのうち気が向いたら買おうか。

ショスタコーヴィチ: 交響曲第4番, 第5番; プロコフィエフ: キージェ中尉, 交響曲第7番

まずはショスタコーヴィチの5番から。録音は1977年。
第一楽章から、金管は別にして、シカゴ響にしてはそれほど力強さを感じないかな、と思った。これは指揮者の違いのみならず、デッカとEMIのレコーディングの違いにも因るのかもしれない。
どちらかと言えば丁寧で滑らかな演奏、録音で、破壊的、暴力的な印象が薄い。終楽章も少し早めに推移するためか、あまり爆発的なものが無く、さらりと流れてしまうような印象だ。
ただ、70年代においてすでに昨今のショスタコーヴィチに対する様な、妙な深刻さや思想や社会主義的な色合いなどを感じさせない演奏をしているのは、先見の明があったと言うことだろうか。

続いてショスタコーヴィチの4番。こちらも録音は77年。冒頭、かなりゆったりじっくりとして、それはスケール感の拡大にはつながっているが、緊張感はあまり無いように思える。ただし、丁寧な演奏で、粗が無く、緩急も劇的にコントロールされ、流石はシカゴ響、見事なものだ。
5番と同様、純音楽的な、洗練されたアプローチとでもいうべきだろうか、どうも、70年代にしては、体制や思想的なものの影響が感じられない。そして、EMIにしては、と言うと失礼だが、薄皮をかぶったような感じが無くクリアな音質で、これがますます洗練度を増している。
破壊的な面やグロテスクな要素はあまり印象に残らなかった。旧ソ連の系譜に連なる暴力的な演奏、録音を好む人にはあっさりとし過ぎているだろう。

プロコフィエフの「キージェ中尉」は74年の録音でオケはロンドン交響楽団。
これはまあ、楽しい演奏だ。
そして、プロコフィエフの7番もロンドン響、録音は77年。コーダはサモスードによる改変版で、明るく終わる方。流麗な美しさは流石にプレヴィンと言った感じで、素晴らしい。ロンドンのオケらしいかっちりした渋みのある音も好みだ。おまけ扱いなのが勿体無い位だ。

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