矢沢永吉「ALL TIME BEST ALBUM」を聴く。

矢沢永吉「ALL TIME BEST ALBUM」が届いた。CD3枚組み。1枚目から聴いて行く。
厚みのあるブックレットが付属し、大半の曲に対して矢沢のコメントが記されており、これを読むのも楽しい。
いくつかの曲は、オリジナルではなく、後に録音しなおされたヴァージョンが収められている。また、1970年代の曲も丁寧にリマスタリングされているのか、音質は良く、クリアだ(カセットテープで聴いていた昔と比べるのも今となっては無理なのだが)。



きちんと聴いたことがない曲もあり、懐かしい曲もある。ちょっとピックアップして感想をメモしておこうと思ったら、やっぱりソロになってからの矢沢の作品だと、自分はファースト、「I LOVE YOU,OK」が好きなのだと言うことがよく分かった。そしてまた、アルバムを聴いていない時期の曲でも聴き覚えはあり、矢沢が如何に息長く、コンスタントに良作を生み出し続けていたか思い知らされた。

Disc1-1. チャイナタウン(3rd.「ドアを開けろ」)
名曲だが、ベスト盤の1曲目がこれか、と、少し違和感を感じた。と言っても、ここに置くなら「アイ・ラヴ・ユー,OK」(Disc1-5)かなと思ってしまっただけなのだが。
しかし、キャロルで世に出る前、広島から電車に乗りなぜか横浜で途中下車し、チャイナタウンで働きながら始まった歴史を振り返るならば、一曲目はこれしかないとも思える。

Disc1-2. ウイスキー・コーク(1st.「I LOVE YOU, OK」)
高校時代、仲間たちと「名曲はすぐ終わる」法則と言うのを唱えていた。ビートルズの「All My Loving」や、ジャンとディーンの「Summer Means Fun」などが、その代表例だ。日本では、この曲が筆頭に上げられる。
そしてまた、この曲を聴くと今でも、サントリー・ホワイトをコカコーラで割って飲みながら麻雀やったりしていたあの頃を思い出す。

Disc1-13. 雨のハイウェイ(1st.「I LOVE YOU, OK」)
キャロル時代に「捨てたはずのコイン」というタイトルで試作され、その録音がCDになっている。カントリー風のギターとストリングスで味付けされた「雨のハイウェイ」に対し、歪んだ音やハーモニクスでリードギターがいい味を出していて(試作段階ではあり、完成形がどうなっていたかは分からないけれど)、「捨てたはずのコイン」のアレンジの方が好ましく感じてしまったりする。しかしそれも、そもそものメロディラインの素晴しさがあればこそである。



「捨てたはずのコイン」は、例によって、何となく英語っぽい詞とは言えない詞のようなもの(「永語」と呼ばれているそうだ)を口ずさんでいる録音だが、ジョニー大倉が付けた詞も残っており(と言っても2010に発刊したジョニーの著書の中ではじめて紹介されたそうだが)、その詞を歌ってファンがカバーして録音した動画がYoutubeで視聴できる。これがまた、甘く切なく内向的な、いかにもキャロルらしい良い仕上がりなのだが、それが余計に切ない。

Disc2-5. 心花(ときめき)よ(22nd.「HEART」)
この曲をはじめ、ここ20年ほどの作品では、アルバムを聴いていないにもかかわらず聴き覚えがある曲が多い。世間が矢沢を受容し、ごく普通に、CMソングなどに使われていった証だろうか。

Disc3-14. PURE GOLD(19th.「永吉」)
これは、発売当時たまたまMTVか何かで観て、名曲だと思った。で、カラオケに行く機会があって歌ってみたら、結構間がもたずに困ってしまった。極端な起伏やガッと盛り上がるところも無く、比較的シンプルなつくりでありながら、聴かせる力には恐れ入るしかない。
この曲がトリに置かれているのは、どこまで行ってもいつまでも、ギターとトランク抱えて歌い歩くロックンローラーであろうとする矢沢の所信表明の様なものなのだろうと想像していたら、矢沢自身のコメントにもこれしかないとあって、深く頷いた。

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