朝比奈隆指揮大阪フィルのショスタコーヴィチ5番。

タワーレコードの独自企画盤、朝比奈隆指揮大阪フィルのマーラー8番とショスタコーヴィチ5番のセットについては、以前から気になっていた。
店頭では見かけず、何か他の物と一緒にオンラインで買おうと思っていたら、最後の再プレスだとかで店頭に並ぶようになり、逆にオンラインの方の在庫が無くなっていた。
今ある限りと言われるとついつい買っておくべしと言う気にさせられ、結局タワレコ難波店で購入した。「千人の交響曲」と呼ばれる曲を、大阪初演で、実際に1,000人を集めて演奏したと言うマーラーの8番の方がメインディッシュなのだろうが、自分としてはショスタコーヴィチの5番の方が重要だ。

朝比奈隆指揮大阪フィルのマーラー8番とショスタコーヴィチ5番

冒頭から非常に緊張感が高い演奏で、ぐっと引き込まれる。ややゆったりとしているように感じるが、密度が高い。単純に、良い演奏だと感じた。1981年、大阪は中之島のフェスティバルホールでのライヴ録音だそうだが、音も良く、かつてのフェスティバルホールには数えるほどしか聴きに行っていないからどんな音だったか想起出来ないが、なかなか響きも良く聴こえる。咳など環境ノイズがあるもののこれは仕方が無いし、60年代のソ連の会場ほどではないからさほど邪魔にならない。
第二楽章、第三楽章もテンションが切れずに引っ張って行ってくれ、もしかすると自分にとってのリファレンスになり得るかもと思っていたら、残念ながら終楽章は少しバランスが悪くなった。木管の高音と、金管の低音が妙に前に出て来る。逆に、トランペットやホルンが衰えているのだろうか。後半で各パート、力を振り絞って頑張るが、その熱さや好とは言え、さらに調和を乱してしまっているとも受け止められる。
日本におけるショスタコーヴィチ関連のサイトとしてポータルとも言うべき(そして私もしばしば利用させていただいている)工藤庸介さんのサイトでは、この録音に関して、

第2楽章以降徐々にオーケストラに疲労の色が濃くなるのは惜しい

と評せられているが、なるほどそういうことなのだろう。しかし、日本のオケが80年代初頭にこれだけ堂々たる録音を残していたとは、素晴しい。
マーラーの方は長いし重い曲なので、そのうち気が向いたら聴くことにする。

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