最近読んだ本。

リチャード・ブローティガンの「アメリカの鱒釣り」は、私が若い頃には、すでに若い世代が読んでおくべき現代の名作のひとつとされていたように思う。
1967年に著され、1975年、藤本和子さんによる邦訳が出た。例によって小林信彦さんの作品中で触れられていたのを読んだのか、良く覚えていないが、高校生の ころだから1980年代前半には、ブローティガンと代表作である「アメリカの鱒釣り」の存在については何となく知っていた。
出版社はサイの マークでおなじみの晶文社だった。晶文社と言えば植草仁一さんの著作などが代表であり、ちょっと左翼崩れや ヒッピー崩れの人たちが読む本を出す会社、と言う非常に勝手、一方的な印象を持っていて、そうした世界に対して好きでも嫌いでもなかったから、「アメリカの鱒釣り」も、現代人が読むべき文学の代表ではあると認識していたが、ほったらかしていた(あくまで若気の至りである。晶文社の本と言えばラングストン・ヒューズの詩集を持っていたかも知れない)。
それから30年ほど経って、何か読むものは無いかと、書店の文庫の棚、海外作品のコーナーを眺めていたら、「アメリカの鱒釣り」があった。


もっと早く読むべきだったのか、今、中年だか初老だかになってはじめて感じられるものもあるわけで、 これで良かったのか。それは分からないが、いい本だと思う。あくまで、ブコウスキーのいくつかの作品は面白く読めたが、ケルアックの「路上」は何度も手にとってページをめくりながらついぞ読む気にならないまま数十年敬遠しているような、特にアメリカの現代文学を愛好しているわけでもない(ハードボイルドノヴェル、探偵小説は別だ)おっさんの感想だが。


それから、同じアメリカ文学ではあるが時代も何も全く異なるものを。心理サスペンスの古典的な名作とされているが、近代の女性の一人称による叙述であるためか、なかなか読みづらく、えらく時間がかかった。

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