コンドラシンのマーラー第9番。

コンドラシンのマーラー、7曲入りのボックスから、最後に9番を聴く。1964年の録音。合計74分台と、快速な演奏だ。ノイマンとLGOとの録音が75分台、クーベリックとバイエルン、サロネンとフィルハーモニアが77分台、他にメモしていないものもあるからわからないが、おそらく持っている中で一番速い9番なのではなかろうか。

しかし、聴き始めて、別段それほど速いとは感じない。が、ショルティとロンドン響との録音の様な、がちゃがちゃした感じが強い。ありのまま楽譜どおりに楽器を歌わせましたと言うか、バランスをとったり整えたりと言うことの無いまま提示されている様な。
第二楽章でそれがもっと顕著になるかと思ったらそうでもなく、ユーモラスで時々長閑で時々不安げな表情の移り変わりを、メリハリをつけて楽しませてくれる。
第三楽章もそれほど緩急は変化していないように思うのだが、終楽章へのブリッジとなるあたりに来ると、これは結構速めだと明らかにわかる。そして終楽章は、実のところかなり速め(クーベリックとバイエルンの全集録音と同じ位)ではあるのだが、それよりも枯れた感じの方が印象に残る。普通ならもう少しはっきりとアクセントをつけるだろうところをさらりと滑らかに流したり。

7曲を聴き終えて、まずは、全般に情念の吐露のようなもの、どろどろしたところが無い。と言ってもこれは、60年代に録音されたマーラー作品としては珍しいことではないだろう。そして演奏時間が短い。これだと硬質かつ淡白になってしまいそうだが、ソ連のオケ(3つのオケにまたがっているが)らしく金管が強く、エネルギッシュで、うまくバランスが取れている。惜しむらくは録音の余りよろしくない曲がいくつかあることで、音が良ければまた違った印象が得られただろう。

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