コンドラシンのマーラー第7番。

コンドラシンのマーラー、3番は余り音がよろしくなく、旧ソ連におけるマーラー演奏の資料的価値を聴くものかなと思ったが、時代が下がっての7番は、なかなか録音も悪くなく、しかも、ショスタコーヴィチなどで感じられるコンドラシンらしさ、あるいはソヴィエトらしさを含んだ面白いものになっていた。
オケは何故かモスクワフィルではなくレニングラードフィルで、録音は1975年だ。

まず、ボリュームを間違って下げていたかと思うような小さ目の冒頭、オヤッと思うと、ホルンが結構な音量で入ってきて驚かされた。この場面を筆頭に、やはり全般に金管が強く、いかにも旧ソ連のオケの音だなと思わされる。
しかし一方、第二楽章のカウベルなど、鳴り物と言うかパーカッションの類は、意外と地味で前へ出てこない。 太鼓も同様だが、これは録音に因るものだろうか。
弦はまとまりと厚みはあるが、ふくよかさやしなやかさは感じられず、筋肉質に感じられる。
そうしたアンサンブルがキビキビと、さくさくと長大な曲を奏でて行く。今時だと2枚組みで85分前後かそれ以上のCDが多い7番だが、これは1枚に収まっており、今の尺度で見れば恐らく快速と評されるものだろう。それが如実に現れているのは終楽章の冒頭で、太鼓が妙に速いテンポで打ち鳴らされる。ムラヴィンスキーやバーンスタインによるショスタコーヴィチの5番の終楽章冒頭もそうなのだが、速いテンポでドンドコやられると何故か笑い出しそうになってしまってよろしくない。少し我慢すれば落着いて、それでもその後も緩み無く走って賑々しくコーダを迎えるわけだが、引き締めておいて解放すると言うか、このあたりのあざとくならないが確りとした盛り上げ具合は、コンドラシンのショスタコーヴィチに通じるものがある。ソ連の演奏だなとは思うのだが、けして、いかにもな爆演にはならないと言うか、そんなところが。

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