コンドラシンのマーラー第6番。

コンドラシンのマーラー箱も残すは6番と9番。好きなものは最後に、と言う性質なので6番を先に聴く。1978年、コンドラシンが亡命する年の録音で、オケはレニングラードフィルだ。
コンドラシンの6番では、後の南西ドイツ放送バーデンバーデン響とのライヴ録音を持っていて、そちらも68分台と言う非常に速い演奏なのだが、この録音は66分を切る、さらに速いものとなっている。

冒頭、速めではあるなと感じるが、滅茶苦茶速いと言う気はしない。きびきびとしていてテンポが良い、と言う印象だ。アルマのテーマも悪くない。これまでのこの選集の傾向どおり、70年代に入っての録音は音がまずまず良いので、安心して聴けるのもよろしい。
第二楽章にスケルツォを置いている。好きな配置だ。そしてここは、追い立てられるような切迫感があった方が好ましいから、快速ぶりがさらに功を奏している。
そして次に置かれたアンダンテ。ここがあればこそ、ちょっと臭い6番も我慢して聴ける、と言うか、マーラーの作品中で9番のアダージョに次いで美しい部分だと思っているから、 ここの善し悪しが一番重要だ。
スピードに任せてあっさり流れてしまうのだろうかと思っていたら、ソ連の録音にしては弦が厚く感じられ、速めではあるのだろうが、拙速にはならず、低音の重厚感にも支えられ、美しい旋律が紡ぎだされて行く。まずまず良い感じだ。
終楽章は、全般に速めではあるが、その中で緩急をつけているし、もちろん強弱のメリハリもある。しかしそれは、あざとくならない様、統制されている。旋律、展開、様々な面で、くどく、やりすぎ感があり、臭くなってしまいがちな曲を、冷静にコントロールしている。
こういうところがコンドラシンなのかなあと、あらためて感じた。
なお、ハンマーは2回。金属質の音、他の打楽器と判別しにくい音など録音により様々だが、木質系(?)でそれと分かりやすい音だ。

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