コンドラシンのマーラー第5番。

コンドラシンのマーラー、5番は、ソ連国立交響楽団というよく知らないオケtの録音。レコーディングは1974年で、他の一連の曲と同様、70年代のものは音質もまずまず良く聴きやすい。

冒頭のトランペットは、少し控えめに入ってきて、オヤッと思っているとぐっと力を入れてくる。それでも余裕を感じさせる。しかし、音は鋭角的と言うか痩せ気味で、中高域に偏っているように思える。弦にも厚みやふくらみが余り無い。それほど多く聴いているわけではないが、かつてのソ連の録音(ロジェストヴェンスキーの80年代の録音も同様だが)にはそうした傾向があるのだろうかと思えてくる。

第二楽章の不穏な雰囲気にはそうした音質が合っている。第三楽章の長閑な場面ではもうちょっと柔らかさが欲しい気もする。しかし第四楽章は、ちょっと冷たく寂しい感じになるかなと思ったら、却って透明感があって良かった。
そして終楽章、少し楽器と楽器の間が空いているような、すかすかした感はあるが、ダイナミックで華やかなフィナーレだ。如何にも交響曲を聴いたと言う気にさせられる。

マーラーの5番と言うのは、第四楽章アダージェットの存在により美しい名曲として捉えている人も多いようだが、全体を通すと結構あっち行ったりこっち行ったり、ばらばらで奇妙な曲と言う評価もある。そしてこの録音では、後者の意味するところが良くわかった気がする。
全般に過剰な演出を施すことは無く、どちらかと言えば速めにきびきびと進んで行くので、それぞれの楽章のばらばらさ加減が浮き上がってくるのだろうか。

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