ザンデルリングのショスタコーヴィチ第5番。

ザンデルリングとベルリン響のショスタコーヴィチ選集もこれが最後。残しておいた5番を聴く。
出だしからして、厚い、と感じる。弦のまとまり具合はどの曲も良いのだが、この曲では特に素晴しい。ゆったりとしたテンポで、重厚に響く。その後も安定した状態で、第二楽章に入っても、全く崩れるところを感じさせず、突き進んで行く。
あえて言えば、この楽章などは、少し乱れてしまってもそれが味になるような気はするが、乱れずにいて悪いはずは無いし、第三楽章などもかっちりとした演奏になっていて、生真面目すぎる気がするものの、これもまたいちゃもんでしかない。
で、終楽章であちゃーと、ちょっと残念。ソ連にいた時にムラヴィンスキーに師事していた経緯から容易に想像できるはずだったわけだが、ムラヴィンスキー並みの高速で始まってしまった。ムラヴィンスキーとバーンスタイン、アプローチの姿勢は正反対だと言う気がするが、結果としてこの終楽章では、同じように恐ろしい速さで入ってくる。これがどうにも受け付けられない。
中盤以降は落ち着いて、コーダに向けてもやや安全運転かなという気はするがまとまりは良いのだが、何せ、終楽章の冒頭はこれでは駄目なのであり、そこがこの曲の中でも特に好きな部分であるだけに、これは無いといわざるを得ない。しかし、ムラヴィンスキー系の演奏を、あの旧ソ連の耳に痛い録音ではなくまともな録音で聴きたいという人には、あれほど冷徹ではないけれど、好ましいものになるのではないだろうか。

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