ザンデルリングのショスタコーヴィチ、第10番と第15番。

ザンデルリングとベルリン響の録音は、どれも、一定の水準をクリアしていると言うか、一本筋が通っている。
スケール感はそれなりだがまとまりの良い丁寧なアンサンブルで、弦は派手ではないが渋く美しい。管は節度を持ち必要以上に咆哮せず、打楽器は出てくるべき時に確りと前に出ては来るが、こちらもやりすぎることが無い。

1番、6番、8番では、そうした傾向が非常に良い方に感じられた。
しかし、10番では、少し物足りなさが出てきた。あまり良くない意味での「安全運転」と感じてしまった。第一楽章は良かったが、第二楽章が物足りない。スピード感が余り無く、かといって、オーマンディの録音の様などっしりとした迫力があるわけでも無い。第三楽章ももう少し力強さが欲しいと感じる。もっとも、終楽章は流麗、華やかにまとめ上げているので、終わってみれば余り悪い感じは残らない。
それよりも、強奏部分でしばしばカサっと言うようなノイズが乗ってくるのが気になったが、一体なんだろう。

そして15番、これも演奏の傾向は同じ。ゆったりと、柔らかい入りだ。
この曲では、この落ち着いた流れが、曲のディテールをしっかりと紐解くことに繋がっており、暗闇から各パートが浮かび上がってはまた引っ込むような様がじっくりと表出されていく。15番については、ERATOでの録音を筆頭にザンデルリングの評価は高いのだが、それもなるほどと頷ける演奏だ。

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