コンドラシンのマーラー第1番。

マーラーの交響曲全集とか選集とかを入手した時は、大抵1番から順に聴いて行くのだが、今回コンドラシンの選集に関してはそれを崩したので、何となくだが真ん中を越えたあたりで1番を聴くことになった。だからと言ってどうと言うこともないのだが。

1969年、モスクワフィルとの録音。コンドラシンは1981年、クラウス・テンシュテットの代役として北ドイツ放送響を相手に1番を指揮した日の夜、ホテルで急逝する。何だか因縁めいたものがあるような気になるが、しかしこのソ連時代の録音には関係の無い話だ。

冒頭、非常に物静かに、優しく柔らかく音楽が始まる。残念ながら録音が古い所為か抜け感が無く、現代の録音であったならさぞ透明感の高い、清冽なものであったろうと、少し残念な気持ちになる。一転、第二楽章は、なかなか力強いもので、続く第三楽章とのコントラストが際立つ。第三楽章は流石にボヘミア的な土着性は余り感じられないが、それは地理や民族の問題でもあるだろうし、そもそもコンドラシンの録音には、過剰な情念の迸りの様なものは無く、確りと統制されていると言うことでもあるだろう。
そして終楽章、ダイナミックに、しかし乱れずに進む。強奏場面で音が濁ったり潰れたりするのが勿体無い。同じセットの中で、70年代の録音と、60年代のものとで音質に差があるのは如何にも残念だ。

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