コンドラシンのショスタコーヴィチ、第13番。

ショスタコーヴィチの交響曲には、いくつか歌が入ったものがあるが、中でも13番と14番は、全編歌が中心となっている。
同様のマーラーの「大地の歌」は、ことに欧米では連作歌曲集と看做されているのか、交響曲全集に含まれていない。縁起の悪い9番を避けて9作目だけれども番号をつけず、10作目を9番としたとされ、「交響曲第○番」という名前で無い所為もあるだろうか。
「大地の歌が交響曲で無いのなら、13番、14番も同様に扱われておかしくないのだが、作品名が交響曲なので、そのようなことにはなっていない。
ま、どうでもいいことなのだが。

ショスタコーヴィチ:交響曲第13番「バビ・ヤール」:キリル・コンドラシン指揮/バイエルン放送交響楽団/ジョン・シャーリー=カーク(Bs)(12/18-19/1980)<タワーレコード限定>

タワーレコードのオリジナル企画で、コンドラシンがバイエルン放送響と録音した1980年のライブ盤が出ている。アナログ時代から名盤とされてきたもので、随分前から店頭で見かけてきたものの13番そのものにあまり魅力を感じず、手を出さずにいたのだが、新しいもので食指が動くものが無いので、何となく買ってみた。
冒頭から、咳の音がかなり大きく入っている。まるで、ムラヴィンスキーのライブ録音のようだ。しかし、音質は全く異なり、オケの音、合唱、独唱、いずれも艶を帯びつつ、確りと響く。
コンドラシンはソヴィエト時代にこの曲の初演を手がけており、それから18年を経たこの録音では、深みこそ生まれていようが、解釈や指揮には何の問題も無いはずで、優れたオケを得て悲痛な背景を得た曲を緊張感高く推し進めながら、かつ芳醇な音楽を生み出している。
こうなると、やはり、環境ノイズの無いセッションレコーディングで、確り追い込んだ録音を聴いてみたかったと思うのは、我儘だろうか。まるで聴衆を煙に巻くように曲が終わって、余韻も感じさせてくれず間髪入れず拍手が始まるのも好ましくないのだが。

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