ドン・ウィンズロウの「紳士の黙約」。

「夜明けのパトロール」の続編というか、サンディエゴのサーファー兼探偵であるブーン・ダニエルズを主人公に据えた2作目が文庫新刊で出た。
主人公を中心に個性的な仲間たちが活躍する群像劇的なシリーズになりそうな感があったものの、 「夜明けのパトロール」 で仲間たちの間にいきなり不協和音が発生していたりもし、続編が出ると言う雰囲気では無い様にも思えたが、果たしてそのあたりはどうなっているのだろう。
本国では、2006年の「フランキー・マシーンの冬」のあとに、2008年「夜明けのパトロール」、2009年「紳士の黙約」と続けて刊行され、2010年には「野蛮なやつら」が出ているので、2作でシリーズとしては終わっているようだ。



通勤の往復で数日かけて読むつもりだったのだが、ウインズロウ作品の中ではどちらかと言えば軽い作風である所為か、さらさらと読み進められ、しかも、土曜の休日出勤の行き帰りで読んでいたものだから、流れで土曜の夜のうちに読み終えてしまった。
そのぐらい、スピード感、牽引力はあり、面白いと言うことなのだが、主要な登場人物、特に主人公側の連中が皆出来すぎであることは気になるし、ちょっとばかり都合が良すぎる感は否めない。前作では仲間たちの間に亀裂を生じさせつつより重い出来事に挑み、事件は解決してもしこりが残った。今作でも再びというかまた新たな仲間たちとの対立をものともせず主人公は己の信念に従うのだが、まあ、ネタばれになるが前作よりも終わりよければすべてよし、丸く綺麗に収まってしまって、それがどうにもつまらなく思えてしまうのだ。
この展開では、これ以上続けてもあまり深みが出そうにも無く、終わらせたのは正解かなと思う。

コメント

人気の投稿