ショルティとシカゴ響のマーラー第7番。

マーラーの交響曲第7番は、自分にとって、どうにもこうにも、つかみどころのない曲。何種類か、おそらくは両手の指の数ほどの録音は聴いてみているのだが、サイモン・ラトルとバーミンガム市響の録音で何となく輪郭はつかめたような気がしたぐらいで、大抵、何を聴いていたんだっけと、ちょっとぼうっとしてしまう。
5番も似たような組み立てで、楽章ごとにあっちいったりこっちいったり、ガチャガチャした作りの曲なのだが、こちらはちゃんと聴いた気になれて、満足できる。葬送の第一楽章、第四楽章の甘美さと、聴き所が立っているので、なんとなく判ったような気になるのだろう。

そんなわけであまり積極的に買い足して聴くことのない7番なのだが、ショルティとシカゴ響の録音を聴いてみることにした。10月に日本盤が再発になるようだが、しょっちゅう価格が上下するDECCAのオリジナル・シリーズが値下がりしていたので入手した。



さて、買っておいてあえて聴かず、出張のタイミングを待った。80分近い曲なので、新幹線の中で途切れることなく聴ききろうと考えた。
冒頭、HMVなどでのレビューにあるとおり、低音がかなり豊富に収められていて、違う曲を聴いているかと思うほどだ。で、以後全曲を通して打楽器のアタック感、低音の強さ、金管の余裕を残した力強さと張り艶等、いわゆるショルティらしさ、シカゴ響らしさが全開で進む。いや、むしろ、指揮者とオーケストラとレコーディングエンジニアのアンサンブルによって、楽譜に記された音を確りと出しつくし、それを克明に記録しようと言うチャレンジの成果がこの録音であって、こうした実績が、後々ショルティやシカゴ響のイメージを形成して行ったのだろう。
やはり、どんな曲だったかよくわからないままではあるのだが、メリハリが利いていて終楽章の盛り上がりが確りと、如何にも大団円らしくまとめられているので、なんだか分からないけどブラボーと言う感じではあった。

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