カラヤンの「大地の歌」。

ドイチェ・グラモフォンの「Galleria」シリーズの「大地の歌」、カラヤンとベルリンフィルの1973~74年の録音だ。一緒に取り寄せた交響曲第4番と同様、今年になって国内廉価版が再発されており、もしかするとリマスタリングで音が良くなっているのかも知れないが、気にせずにおこう。

女声はクリスタ・ルートヴィヒ、男声はルネ・コロで、これはバーンスタインとイスラエルフィルの録音と同じ組み合わせだ。バーンスタインの粘着質な伴奏で終曲「惜別」を聴く気にはならないのでそちらは未聴だが、歌手には関係ない。
ルートヴィヒは、この曲の最も優れた録音であろうクレンペラー指揮のディスクで聴いて、全く非の打ちどころが無いと言うか、完成形とでも言うべきものを見せつけられたと感じた。あのディスクでは、男声のヴンダーリヒも素晴しいというかやはり最良と思え、さらにはオケの伴奏の良さもあってこのように感じているわけだが、それでもルートヴィヒと言うだけで期待感は高まる。
ルネ・コロも、ショルティの大地の歌で聴いているものの、録音の問題かもしれないが、シカゴ響との組み合わせでは少し声が控えめに感じられた。この録音ではどうだろうか。



冒頭、ここは特に変わったところはない。コロの歌唱は爽快で、やはり少し線が細いように思えるが、伸びやかだ。装飾音など細かいところに気を配ったらしい録音で、わざとだろうがガチャガチャした雰囲気に仕立ててある。その中を、歌声が通り抜けていく。
替わってルートヴィヒは、やはり力強い。音程が低くなったところで、無理をしている感じが全く無い、いやそれどころか、まだ余裕を残している。
明るい曲はいっそう軽妙さを増してなかなか良い。特に3曲目はコロの声もマッチして楽しい。伴奏はずっとガチャガチャしていて、これは終曲を除いて変わらない。そして終曲も、伴奏は落ち着くが、厳粛に重々しく引きずるのではなく、軽さを残している。クレンペラーの石造りの城砦のような演奏とは対極にあるが、ルートヴィヒの歌声は変わらず、切々と、あるいは朗々と響く。
カラヤンのマーラーにはどれも少し違和感を感じるが、これは面白い。

コメント

人気の投稿