金庸×ショウ・ブラザーズの映画「射鵰英雄伝」。

この連休は妻が忙しく、留守番、家事雑用をしたりして過ごしていた。といっても暇な時間は結構あるので、Youtubeでショウ・ブラザーズの1960年代末から80年代初頭までの武侠映画やカンフー映画を観たりしていた。最近では映画一本丸ごとがYoutubeに上がっている。尤も広東語の音声に英語字幕だったりするのだが、どうにか話は追えるので結構楽しめる。

そうした中に、金庸の小説の映画化作品がいくつかあったので、まずはと、射鵰英雄伝を楽しんだ。

張徹監督、1977年の作品。郭嘯天と楊鉄心が練武に勤しんでいるところへ、売国奴、Huang(原作では王だが)の生首を携えた丘処機が訪れる。郭、楊両家にはすでに子が生まれているという改変があるが、丘処機が名付け親となり、短剣に郭靖、楊康と名を彫って授けるところは原作の通り。
その後金の王子(完顔洪烈)が役人とともに彼らの住むあたりに押し寄せ、戦いとなって郭嘯天が殺され、楊鉄心も槍を受けてどこかに転落(?)するが、江南七怪がやってきて役人らを追い払う。しかし、楊夫人と赤子は連れ去られる。さらにそこへ丘処機がやってきて七怪は郭靖を、自分は楊康を探し出して育て18年後に競わせようと言う話になる。この流れはかなり無茶苦茶だが、原作が広く知られている前提で作っているだろうから仕方が無い。
そこでタイトルが出て、成長した主人公、郭靖が登場。夭逝したスター、フー・シェン(傅聲)が演じる。続けて「五絶」とそれぞれの縁者の紹介。黄薬師は顧冠忠。黄蓉はティエン・ニウさん、ちょっとぽっちゃり。梅超風は余海倫(ヘレン・ユウ?)。陳玄風は王慶良、陸乗風は葉天行。欧陽鋒は王龍威(ワン・ロンウェイ)、欧陽克はダニー・リー(李修賢)。南帝段智興に大スターのティ・ロン(狄龍)を持ってきたのは特別出演的なものだろうか。そして洪七公は谷峰。中神通に配役は無く、その弟弟子である周伯通はフィリップ・コク(郭追)。丘処機は楊爾忠、王処一は李少華。続いて楊康は李藝民。柯鎮悪に蔡弘、朱聡に林輝煌、韓宝駒にロー・マン(ここでは羅坤霖名義)、南希仁に陸剣明、張阿生にルー・フェン(ここでは儲陸峰名義)、全金発に趙中興、韓小瑩に周潔(さんずいでなくにすいか?)。郭嘯天に唐炎燦、李萍に祝菁、楊鉄心に涂吉龍、包惜弱に劉慧玲。穆念慈に恵英紅。完顔洪烈は于榮、梁子翁に樊梅生、霊智上人にChang・森、沙通天に孫樹培。

 以上、ようやくキャストの紹介が終わると、稽古で七怪に駄目出しを食らっている郭靖を描きつつクレジットが流れる。七人が色々教えるから上達しないので、一人ずつ教えようと二師父、それに答えてまずはと張阿生。二人で人気の無い場所へ行くが、そこは陳玄風と梅超風の修行の場。どこからか戻ってきて人の気配に気付いた陳に張阿生が立ち向かうが殺されてしまう。しかし、思わず飛び出した郭靖の短剣(楊康の名が彫られている)が陳の唯一の弱点である臍を突き、陳は逃げ去る。陳は死の間際、梅超風に九陰真経を彫りこんだ腹を見せ、梅は死んだ陳の皮を切り取って、凶器の短剣に記された「楊康」への復讐を誓う。六怪と郭靖は張を埋葬しつつ、復讐に来るであろう梅超風対策を練る。案の定現れた梅には、束になっても歯が立たないが、棺に潜んだ柯鎮悪が暗器で梅の両目を潰し、撃退する。

その後六怪と郭靖は南に向かい、白駝山の怪しい連中とからんだり、郭靖が一人になって黄蓉と出会ったりしつつ、穆易父子の比武招婿の場面へ。楊康の非道さに怒った郭靖が手を出し、黄蓉と沙通天、霊智上人らがからんできて、王処一に助けられるあたりは概ね原作どおり。しかし王処一は王府に行かずよって毒にやられず、省略された馬真人に代わってこの場面で郭靖に内功の手ほどきをする。
黄蓉に呼び出された郭靖は連れ立って王府へ。穆易親子が囚われている。黄蓉が囮として広間に集まった欧陽克ら武芸者連中の注意を引き、その隙に郭靖が救出に向かうが、途中で梁子翁が育てていた蛇に襲われ、原作どおり噛み付いて血を吸い撃退と同時にドーピング。

などと細かく書いていくときりがないので以下端折る。

郭靖は穆易父子を逃がすが梅超風に捕まり、黄蓉の機転で助けられる。一方穆易こと楊鉄心は王府で妃として暮らしていた妻、包惜弱と18年ぶりに再会、逃げ出して丘処機とも再開するが、完顔洪烈一党に追い詰められて夫婦揃って自害。そこへ江南六怪も現れ、郭靖も合流するが、すぐに郭靖は黄蓉と二人で逃げ出してしまう。 二人はやがて洪七公に出会い、黄蓉の料理と引き換えに郭靖に降龍十八掌を伝授してもらう。そして何故か六怪を探しに行くのだが、どういうわけか陸乗風の館、帰雲荘にたどり着く。そこへ六怪が現れ、続いて梅超風もやってきて、郭靖との戦い、さらに、黄薬師登場の場面へ。その流れで郭靖は家に連れ帰られた黄蓉を追って桃花島に向い、黄薬師に幽閉されている周伯通と出会い、それと知らず九陰真経を覚えさせられる。やがて欧陽鋒と欧陽克が黄蓉を嫁にすべくやって来て、洪七公もやって来て、郭、洪と欧陽叔父甥とで嫁取り合戦三本勝負、最後の課題である九陰真経の暗誦で郭靖が勝利し、黄蓉と手を取り喜び合って一巻の終り。

 恐らく続編があるのだろうが、まだ見つけられていないのでまずはここまで。登場人物を間引いて場面を端折っているので、行き当たりばったりの展開、そもそも原作でも都合が良すぎるところがあるため、それが強調されてしまってどうしようもない。原作未読でこれを観たら、監督も役者も原作者も過小評価されてしまうのではなかろうかと、いらぬ心配をしてしまった。

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