ジュリーニの「未完成」、70年代と90年代。

ジュリーニとシカゴ響のマーラーの9番、その余白にシューベルトの「未完成」が入っている。
シューベルトの交響曲としては、ソニーからリリースされたジュリーニとバイエルン放送響の「グレート」と、「未完成」と4番を組み合わせたディスクを持っていた。これらは1990年代半ば頃に買った覚えがあるが、シューベルトの交響曲そのものに嵌り込むほどの何かを感じず、偶にしか聴いてこなかったし、他の録音を物色することも無かった。
ジュリーニがソニーに移籍したのは最晩年のことだが、 晩年に至って、音楽が遅くなったと言われているようだ。 80年代半ば、奥方の看病のためコンサート活動を制限し始めた時期からだろうか。最晩年に至ってさらに遅くなったという評価も目に付く。
意図したわけではなく偶々揃っただけだが、2種類の「未完成」があるので、そのあたりを聴き比べてみたくなった。



まず、93年のバイエルンとの録音。
ゆったりとしたつくりで、これは他のジュリーニの録音と共通する。あまり極端とは感じない。ゆったりと、大きいが、力感は余り無い。穏やかな河のように流れていく。ソニーの編集側としては"Super Bit Mapping"という技術が売りのようだが、そのおかげか、確かに澄んでいると感じる。気のせいかもしれないが。
続いて78年のシカゴ響との録音。
ゆったりとしたつくりは、意外と変わらない。しかし、重心が低く、力強い。これは年代の差、ジュリーニの側の変化ではなく、バイエルン放送響とシカゴ響との違いではなかろうか。次いで、録音の差だろうか。
日頃余り聴かない曲なので細かく聴き比べられなかったが、驚くほどの違いは感じられなかった。きっと、いつもゆったりと構えてオケに大きく歌わせるジュリーニのスタイルは、根本的に変化していないと言うことなのだろう。

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