サロネンとフィルハーモニア管のマーラー第9番。

<追記>ライヴだが拍手は収録されていない。

バーンスタインとNYP、カラヤンとベルリンフィルと続けてマーラーの9番を聴き、そのほか手持ちの録音もあれこれ聴き直したりしながら、今時の9番の演奏も少しは聴かねばと思い、サロネンとフィルハーモニア管によるライヴのディスクを手に取った。
今一番の話題と言えば、つい先日発売されたバーンスタインとイスラエルフィルのライヴ盤だろうが、店頭でケースの裏を見てみると第1楽章、終楽章ともに30分を超えていて、それだけで腹いっぱいになり棚に戻した。



サロネンの録音は多分初めてだが、フィルハーモニアには、クレンペラーのマーラーをはじめ、ムーティのシューマン等で馴染みがある。ジャケットはサロネンとフィルハーモニア管によるシリーズとしてデザインされているようで、サインとタイポグラフィだけでシンプルだが好ましい。そんなこんなで聴く前から印象は良い。
音はと言うと、まず、低音が豊かに響く。ライヴなのでホールの響きを素直に録っているのだろう。イギリスのオケには、どちらかと言えば朴訥で誠実だが煌びやかさに欠けると言う印象を持っており、それは個人的には好ましいのだが、録音によって重心が低く落ち着き、その長所が伸ばされている。
演奏は全体に速めで、旋律をあまり引き伸ばさず処理していく。きびきびとして爽快とも、拙速で淡白ともとれるだろう。第2、第3楽章では良い方に受け止められる。録音のおかげで太鼓など低音が、輪郭は溶けているがしっかりと響くので、速くとも軽くはならず救われているのかもしれない。
そして、終楽章は、少し落ち着く。といっても、極端にペースが落ちるわけでは無い。ライヴゆえの傷も見当たらず、音も良い。気持ち良く浸ることが出来る。
あっさりしすぎと感じる人も多いだろうが、なるほどジャケットのイメージ通り、現代的で明晰な9番で、なかなか良かった。

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