ドン・ウィンズロウの「野蛮なやつら」。

角川文庫からドン・ウィンズロウの新刊が出ていた。



登場人物のリストを見ると「チョン」とか「パク」と言った名前が見えるので、ウィンズロウ作品まで韓流かと思ったりしたが、どちらも白人だった。
主人公側が大麻の製造者たちで、大きな組織に目を付けられ傘下に入れと脅されて、と言う流れをまとめてみると、まるで地方都市の小さな組が都会から進出してきた大きな組に脅されて、という、昔懐かしいヤクザ映画のようだ。しかし、もちろんヤクザ映画的なウェットなものではなく、このところのウィンズロウ作品共通のカリフォルニアを舞台とした乾いた風情で、荒っぽいやつらの荒っぽい言動が、詩を織り交ぜながら捻った文体で綴られて行く。
最大の欠点は、短すぎることだ。450ページ強しかない。いつも思うのだが、ウィンズロウ作品は、1,000ページぐらい欲しい。そのぐらいの分量が無いと、面白すぎてすぐに読み終えてしまう。そして、少し残念だったのは、いつもの作品に比べると展開が想像通りというか、こいつはこうなるな、こいつをこうしてこうするな、と、先が読めてしまった。登場人物リストを見ただけで、想像が付く部分もあったりして。今作はプロットよりも文体に力が入っていたと言うことなのだろうか。

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