「シャーロック・ホームズの事件簿」と「シャーロック・ホームズの叡智」。

シャーロック・ホームズものは、オリジナルの短編集が5冊、長編が4作品あるが、いちから読もうとするとどれからどう読み進めてよいものかわかり辛い。特に短編集のタイトルが紛らわしい。「最後の挨拶」はまさに最後のように思えるし、「思い出」はさらにその後に、昔を振り返って書かれたもののように思えなくも無い。しかし最後に刊行されたのは、「シャーロック・ホームズの事件簿」で、タイトルだけ見るととても最後の作品集には見えない。



新潮文庫版では、短編集に全作品を収めていないものがある。そうしてこぼれた短編をまとめ全集として補完したのが「シャーロック・ホームズの叡智」という、新潮文庫オリジナルの短編集だ。



これにて全作品読了となったが、世界にマニア、シャーロッキアンがおられるのがよく分かった。というのも、例えば作中で名前だけ挙がるが書かれていない事件が山ほどあったり、ワトソンの家庭がどうなっているのかあれっと思うところがあったり、細かく調べたくなるような要素があちこちに散見されるのだ。とりあえず名前だけ挙がっている事件などリストでも作ってみたくなりつつあるのだが、ちょっと今手を出したくは無いので、ドン・ウィンズロウの文庫新刊でも読んで注意を逸らそうかと思う。

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