ワルターとNYPのマーラー1番、4番。

どうも疲れが取れぬままの休み明け、通勤電車でワルター指揮のマーラー録音集から、第1番の、古いほうを聴く。オケはマーラー自身がタクトを振っていたNYフィルハーモニック。ワルターはマーラーに師事していた人であるから、このコンビはマーラー演奏の保守本流と言って良いのかもしれない。

さて、まず音はと言うと、古いのでこんなもの、と言う感じ。背後にノイズがサーッと流れている。トランペットが妙に前に出てくる。太鼓も意外とどんと鳴る。しかし、他は遠く感じたり、混濁したりしている。
テンポは、ちょっと速い。颯々と進む。こんなに短かったっけと思うほどにあっさりと第一楽章が終わり、第二楽章もやっぱり速い。
一転、第三楽章はじっくりと落着いた感じになるのだが、そのためか俗謡的なちょっとした猥雑さや軽さが感じられず、いささか残念。そして、終楽章はまた、スピーディーに展開されていく。
音質面で余りじっくりと味わうものでもないだろうと言う先入観があったが、そこまで酷くはなかった。それよりも、キビキビとしたスピード感の方が意外で印象に残った。昔のマーラー録音は、昨今のものほど演奏時間が長くないケースが多いように思うが、ワルターはと言えば9番も2番もどちらかといえば長いほうなので、この1番の速さは尚のこと意外だった。

続いて帰り道は4番。こちらもNYPとのコンビで、1945年のモノラル録音。ワルターは、ライブは他にもあるが、セッション・レコーディングはこれしか残していないようだ。
ソプラノはデジ・ハルバン。検索すると「デジレー・フォン・ハルバン・クルツの肖像画」と言うのが出てくるので、それが本名だろうか。1933年に没したオーストリアのソプラノ歌手セルマ・クルツの娘らしいが、Wikipediaにはセルマさんのページはあってもデジさんのは無く、それ以外にもご本人の情報は余り見つからない。特に日本語だと、この録音に関する情報ぐらいしか見当たらない。
それは兎も角、1番とはうって変わってゆったりと始まり、じっくりと進んで行く。録音はこちらの方がよろしくなく、痩せて、すかすかした感じに聴こえる。デジさんの歌声も、痩せて、やや遠く、今ひとつ冴えないのは勿体無い。

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