マゼールとツィンマーマンのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスの、いわゆる3大協奏曲以上に素晴らしいと思っているが、ズッカーマンとメータ指揮イスラエルフィルの録音で満足しているので、あとはグリュミオーのものぐらいしか持っていない。アナログ時代はマゼールとクレーメルのLPを持っていた、というか、発売されてすぐに飛びついた様に覚えているが、あれはどうにも好きになれなかった。今となっては何故かはわからないが。

そんなマゼールのチャイコンを30年ぶりぐらいに入手した。とは言ってもソロはクレーメルではなく、神童と呼ばれたフランク・ペーター・ツィンマーマン。ソリストが変わって、どうだろう。ジャケットのデザインはかなり適当と言うかひどいと思うが、中身はそんなことはないだろう、と、聴いてみる。



端的に言うと、才気が迸る。切れ味が鋭い。ソロはくっきり浮かび上がって聴こえるが、オケはEMIらしく曇っているので、尚のことツィンマーマンの奏でる音ばかりきりきりと切れ込んでくるように感じられる。これはこれで素晴らしいのだろうが、自分がこの曲に求めるものとは少し違う。もっと軽やかだったり温かだったりしてほしい。
が、カップリングのプロコフィエフの1番では、そうした特徴が良い方に出て、非常に良かった。より現代的な曲調に、鋭いソロがぴったりとマッチしている。このアルバムではこちらがメインと考えたほうが良さそうだ。

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