モータウンがらみで「ドリームガールズ」。

12月からauのTVサービスを利用している。CATVより料金が遥かに安いのは良いのだが、HD放送のチャンネルがほとんど無い。ムービープラスぐらいだ。

そのムービープラスで「ドリームガールズ」が放映されていた。R&Bの歴史に残るガールグループであったシュープリームス、後にダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスとなる3人組の、下積み時代から解散までの実話を下敷きにしたブロードウェイミュージカルの映画化作品だ。以前、国際線の機内で上映されているのを、眠りから束の間目を覚ましたときに数分だけ観たような気がするが(夢だったのかもしれないが)、それきりちゃんと観ていなかった。今で言うところのセンターであったダイアナよりも実力的に上だったとされるフローレンス・バラードというメンバーがいて、会社のダイアナ押しに反発して脱退、困窮の末に若くして亡くなってしまう、というのが史実で、そのあたりのざっくりとした経緯は知っていたものだから、観て見たい気もするが精神的ダメージを負いそうに思っていた。それでずっと敬遠していたのだが、録画してさっと流し観してみた。



結果、観て良かった。ストーリーに関しては史実の通りではなく、後味の悪さは無かった。何より素晴らしいと思ったのはダイアナをモデルにしたディーナ役のビヨンセ・ノウルズ、元々顔立ちも近づけられそうだと考えてキャスティングされたのではないかと思うが、振り付けの仕草等、あらゆる場面でダイアナ・ロスに見えて仕方が無かった。そして一方、フローレンスをモデルにしたエフィ役のジェニファー・ハドソンの歌唱力というかパンチ力が凄まじく、実力はありながら冷遇され去っていく役どころに説得力を持たせている。観終わってから調べたらこの人は「アメリカン・アイドル」の出身だそうで、たいしたもんだと驚いた。加えて、ダニー・グローバーが歳をとっていかりや長介に益々似てきているのもちょっと面白かった。
ジェイミー・フォックス演じる社長の悪徳経営者ぶりは、モータウン・レコードの社長であったベリー・ゴーディJr.の実像にほぼ近いと言われ、故に名誉毀損だかなんだかで裁判にまでなったようで、モータウンの歴史(脚色されているが)を裏側から眺める意味でも価値のある作品だろう。
それと、序盤で登場人物たちの会話に、ジャズもブルースもあれもこれも、白人に盗まれた、という台詞があって、盗んだ連中の歌を聴いて喜んでいる身としては複雑な気分になった。

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