アナログ時代の輸入盤の思い出。

クラシックの合間ではあるけれど、スモール・フェイセズやゾンビーズを聴き、さらにその合間にビートルズを聴いたりしていると、なぜだかザ・フーを聴きたくなってしまう。メロディメーカーとして天才集団であったビートルズには敵わないかも知れないし、特に初期は人相もよろしくなくてちょっとやばそうだが、ヴォーカル、ベース、ドラム、ギターカッティングの個々の力量に優れ、ロックバンドのアンサンブルとしては遥かにまとまりよくかつかっこよく、歌詞はちょっとあれだがキャッチーな曲も作れて、日本では流行らなかったけれど類稀な存在だったと思う。

学生時代、今から25年ほど前、ザ・フーのアルバムとしては、アメリカ盤の「My Generation」、同じくアメリカで編集された「Magic Bus」をよく聴いていた。1985年か86年だかの春にニューヨークを訪れて買って来たアメリカ盤の「Who's Last」(オリジナルのジャケットはユニオンジャックだが、アメリカ盤のデザインはハーシーのチョコレートのパッケージのパロディだった)なんかも好きだった。どれもアナログのLPレコードだった。普段は、京都の新京極と北白川に「ユリナ・レコード」というレコード店があって、輸入盤は大抵そこで買っていたように覚えている。
当時、フーの最初のアルバムである「My Generation」の場合、輸入盤でも手に入るのはアメリカ盤であって、オリジナルアルバムではなかった(CDになってからも長らくずっとそうだった)。だがオリジナルで無いアルバムにもメリットはあった。これはほかのバンドも同様だが、シングルだけでリリースされていた曲は、オリジナルアルバムには含まれていないが、その曲がヒットした外国では編集しなおされたアルバムに押し込まれているということがあり、本来なら入っていなかったはずの名曲を手軽に聴くことができたのだ。「Magic Bus」というアルバムは確かアメリカでの第二弾で、これはまったくアメリカ独自企画だったのではないかと思うのだが、名曲「Pictures of Lily」がフルの状態で収まっているだけでも価値があった。 ビートルズなんかでも、国内盤は東芝EMIがちゃんと整理してオリジナルアルバムを ラインナップしていたが、何故かオリジナル以外のアメリカ編集盤などもリリースしていて、そんな中にオランダ盤のベストアルバムがあり、そこに含まれていた「All My Loving」が何故か冒頭にリンゴによるシンバルのカウント(5カウント)が入っていて、オリジナルよりもかっこよかった。別ヴァージョンとかライヴとかブートレグに余り価値を感じないのだが、この「All My Loving」だけは今だに忘れられない。



ちゃんとオリジナルで、かつ豊富なボーナストラックまで含んだ「My Generation」や、BBCでのセッションをまとめたアルバムなど聴きながら、何となくあのアメリカ盤の「Magic Bus」が恋しくなる時がある。

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