シャルル・ミュンシュのベートーヴェン、第九。

ミュンシュというとフランスの指揮者でベルリオーズなどの評価が高い人と言う程度の認識だったが、第二次大戦中のアルザス・ロレーヌ地方出身、すなわちあの「最後の授業」の舞台となった仏独の境界にあって、ドイツ人からフランス人になったという。そんなマエストロとボストン響との第九。
マゼールの30枚組みを聴いてクリーブランド管時代の録音が最も面白かったので、アメリカのオケを見直し(聴き直し)てみたくなったのと、これが稀に見る速い演奏とのことで、聴いてみた。CDの規格を定める時に、カラヤンが第九が納まるようにしてくれと言って収録時間が74分になったと言う逸話があるが、この録音はなんと62分しかない。



といっても、冒頭から速いと言う感じは特に無し。むしろ、どの楽器の音も強い、と感じる。びびったり歪んだり、弱音時にノイズが感じられたり、というのは1958年の録音だから仕方が無いのだが、兎に角そんな中からズドンズドンと言う感じで音が飛び出してくる。太鼓が特におどろおどろしくて良い。
流石に第三楽章は穏やかな美しさに溢れるが、終楽章は再び加速し、力強く、歌唱、合唱、一気に突き抜けていく。
Wikiによるとロンドンでの初演が63分、またピリオド奏法とか古楽器演奏の研究家によるとやはり大体63分になるそうで、それをミュンシュが意識していたのかどうかは知らないが、少なくとも自分には速すぎると言う感じは無くむしろ快い演奏だった。

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