「ロリン・マゼールの芸術」を聴き終えて。

いよいよ残すはワグナーの作品集2枚と、フランス国立管とのマーラーの第1番。ホルストの「惑星」もあるが、これは日頃から気に入って聴いているので今回改めて聴くことはしなかった。

まずは、ワグナーから。といっても、ワグナーは、そもそもほとんど聴かない。以前から持っているディスクは、今回の作品集に含まれているいくつかの同じ録音をまとめたものと、テラークから出ている「Ring without Words」という「ニーベルングの指環」を管弦楽だけで抜粋、まとめたものとの2枚だけ。どちらもマゼール指揮ベルリンフィルの演奏だ。



したがって、あーだーこーだと評することができない。
収録されているのは以下。

Disc29
「タンホイザー」序曲とバッカナール
「さまよえるオランダ人」序曲
「ローエングリン」~第1幕への前奏曲
「神々の黄昏」~ジークフリートの葬送行進曲
「トリスタンとイゾルデ」~前奏曲と愛の死

Disc30
「リエンツィ」序曲
「ローエングリン」~第3幕への前奏曲
序曲「ファウスト」
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」~第1幕への前奏曲
ジークフリート牧歌
「神々の黄昏」~夜明けとジークフリートのラインへの旅

最後に残ったのが、マーラーの1番。ベートーヴェンを最後にするつもりが、何故かこれになった。
1979年、フランス国立管との録音。ちょっと前に、82年からのウィーンフィルとの全集録音を聴いていたのだが、この1番に関してはあまり大きな差は感じなかった。ゆったりと構えて、各パートの音をしっかりと引き出す感じ。ただ、速いところはオヤッと思うほど速くなる。その辺りの抑揚の付け方はこちらの方がはっきりしている。

「惑星」はさておき30枚聴き終えて、何より印象的だったのはクリーブランド管時代がやはりマゼールらしい才気に満ちたというか、しっかりと意図的に色づけされた演奏で、しかもアナログ末期でノウハウが熟成されていた所為か録音も良く聴こえた。確かに好き嫌いは分かれそうだし、異端的な場面もあるかもしれない。逆に言うと円熟味を増したと言うかケレンが抑制されたマーラー全集なんかはマゼールが苦手な人でも遠慮せずに手を出し、愛聴に足るだろう。しかし、自分としてはクリーブランド管時代の方が面白いと感じるし、ベートーヴェン全集などそれだけではもう販売されなくなっているが、再発掘、再評価されるべきではないかと思う。

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