仕事始めもマゼールのベートーヴェン。

仕事が始まり通勤で音楽を聴く日々に戻る。
まず朝はマゼールとクリーブランド管の全集録音から、ベートーヴェンの4番。
3番と5番に挟まれた地味な存在なのだろうが、個人的にはベートーヴェンの交響曲の中では好きな方に入る。全体にソフトで明るく、大作らしい重々しさなど無いが、リズムの転換や各パートの出る退く、抑揚が効いていて飽きない。
この録音では、そうした曲の妙味が存分に表出されている。分離が良く各パートの動きがよく判る。ヴァイオリンのパートのあちこちで、レガート気味にならぬよう切れよく処理しているところがあって、躍動感を高めている。ただし、不思議なことに低音弦はしっかり聴こえるが太鼓は遠いと言うか薄いと言うか。それだけが残念。
帰りはあまり好きではない5番。クラシック入門時に、いち早く買ったLPがスイトナーの5番だったが、面白く感じなかった。以後聴かなくなり、CDになっても全集を買ったときにしか聴かない、単独では買って聴こうと思わない曲だ。暗から明へという構成は、交響曲のひとつのお手本になっているし、あの有名すぎる主題、第一楽章の深刻さは素晴らしいと思うのだが、あまりにも、終楽章が能天気に聴こえてしまうのだ。
それはさておき聴き始めると、速い。速さのせいか軽くも感じる。ここはもっと重苦しくてもよいのにと、首を傾げる。しかしその内、日頃余り聴こえてこない各パートが耳に届き、同じ曲ながら聴いたことが無いかのように聴こえてくる。これは指揮者や録音が違えばよくあることだが、面白い。第二楽章、第三楽章は比較的じっくりと進み、陽気な終楽章はまた速くなる。今度の速さは、能天気さを置き去りにするようでむしろ心地よい。この曲を見直した、と言うほどではないが、良かったことは間違いない。

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